2019年9月3日火曜日

夏が終わる(近況)

今日から新学期が始まったが、今日は入学式のため授業はない。明日から授業&TAで、少し気持ちを入れ替える必要がある。近況を項目に分けて記しておく。

・家
今年から家の管理人をやっている。主な仕事としては家のメンテナンスに責任を持つことと、新しいルームメイトを見つけることと、ルームメイトと大家さんの仲介をすることである。もともと去年まではルームメイトのオランダ人夫婦が長らくこの仕事をやっていたのだが、奥さんの方がNYUでテニュアトラックAPポジションを見つけたので引っ越し(おそらく業界のスーパースターなんだと思う)、僕に声がかかった。

ルームメイト四人は全員ブラウンのPhD課程の大学院生だ。エジプト・アッシリア考古学専攻五年生のイタリア人、比較文学専攻の新一年生の中国人、哲学専攻六年生のシンガポール人、生物学専攻新一年生のペルー人、社会学専攻新三年生の私という全員留学生のメンバーである。去年までの二年間一緒に住んだのは私以外ほぼ全員がヨーロッパ(イギリス二人、オランダ一人、イタリア一人、フランス一人)からの留学生かアメリカ出身で、人文系の専攻だったことを考えると大きな変化である。

家の管理は週に一から三時間程度の時間をとられるだけで、時間的な拘束は少ないのだが、ルームメイトと隣に住む大家さんの仲介をするのには、精神的な負担はある。また、今学期は10-1月の間のどこかの3週間で大規模な工事が入る予定で、それの調整が面倒臭い。ただ、東海岸の地方都市の白人中産階級のneighborhoodでの日常を垣間見れるという点ではとても面白い。また家の契約書の書類作成等も手伝っているのだが、意外と勉強になっている。管理人をやることによる家賃の割引も助かっている。

・遊び
息抜きがNetflixだけではよくないと思い、時々アウトドアもやっている。昨日までLabor DayのLong weekendだったので、ロードアイランド州南端のチャールズタウンのラグーンでシーカヤック/カヌー&クラム狩りに行ってきた。


クラムは二枚貝という意味だが、ニューイングランドではほぼ写真のホンビノス貝を指す。ニューイングランドクラムチャウダーに入っているアレだ。ちなみにたくさん獲れたのだが、僕は甲殻類アレルギーで食べられない。一緒にいって食べた友人によると大きいのより、小さい方が美味しかったらしい。

ラグーンでのカヌー:
腰くらいまでの浅瀬が続くので救命具はいらない。

ホンビノス貝(クラム):
計測器を持参し、州法の規定以下の大きさの貝は海に戻している。

最近痛感するのが車の免許の必要性だ。ニューポート、ボストン、ニューヨーク等の近隣都市へは電車やバスで安く&速くいけるが、色々な発見がありそうな田舎町へは車がないといけない(もちろんバスでいけるのだが、とりあえず時間がかかる)。今回の旅も友達が車を持っていたからこそできたわけだが、一人では無理だ。とりあえず来年のこの時点までには免許を取得することを心に固く決めた。

・研究
修論を投稿し終わって、無駄に長引いてしまった改稿も終わった(意味あったか不明)。これから一年かけて博論の「Big Question」(「漠然とした問い」という意味ではない)を生み出す必要がある。来年の12月に博論プロポーザルをディフェンスする予定。アメリカの移民二世のライフコースを出生コホートによって比較するという漠然とした考えはあるのだが、まだ精緻化できていないので、今学期はこれを具体化できるように、なおかつ教員も説得できるようにしたい。日本の研究もサイドで続けており、こちらも今年は少し頑張らねばならない。

博論の審査委員会は最低三人必要。来年のこの時期くらいまでに決める必要がある。既に三人はなんとなく決めているのだが、候補に入っていなかった先生から「私を入れないか?」という連絡がきた。曖昧な返事をしていたら、最近また連絡がきて少し対応に悩んでいる。よくよく考えると、確かにかなり関心は近いのだが、これまであまり関わりのなかった先生なので慎重に検討したいとともに、向こうからアプローチしてきた理由が気になっている。

・コースワーク
コースワークはあと1年分とる必要がある。今学期は社会学大学院の"Statistical Methods for Hierarchical and Panel Data"というマルチレベル/パネルデータの分析法のコース、"Spatial Thinking in Social Science"という居住分離や近隣効果などの先行研究をサーベイするコース、"Migration"という国際&国内移住に関する先行研究を、人口学に重点をおいてサーベイするコースと、経済学大学院の"Applied Methods"という因果推論のコースの中からいくつか履修しようと思って迷っている。TAや社会階層論のプレリム試験を受験する必要があるので、あまりたくさんとるのは絶対にやめた方が良いことはわかっている。とりあえず今週中に決めてしまいたい。

・体調(消化器系)
先月の胃カメラ検査で原因が判明したのち、京都で3ヶ月分の薬を処方してもらっている。油断して薬を飲み忘れるとまだ気持ち悪くなるので、特に良くなってはなさそう。

・節約
来年度、ある程度の出費が予想されており、それを見据えて先月から節約している(目標は月1000ドルを貯め続けること)。巨大なアジア系スーパーが車で10分のところにできたこと、かつアジア系のルームメイトが2人できて一緒にuberをシェアできることで、Whole Foods(日本でいう成城石井)でしか買い物できなかった毎日とは違う生活ができるようになりそうだ。今週はアメリカではなかなか手に入らない豚バラ肉(しかも信じられないほど安い)やゴーヤを使ってゴーヤチャンプルなどを楽しんだ。とりあえず「一人での外食は禁止」というルールを自分に課し、弁当を毎日学校に持っていくようにしたい。



2019年8月29日木曜日

米博士課程におけるプロフェッショナルディベロップメント(プロセミ委員就任)

アメリカの社会学部(おそらく他の専攻でもあるだろう)の博士課程では、プロフェッショナル・ディヴェロップメント・セミナー(以下、プロセミ)やそれに類する名前のコースワークを1年生の秋に履修することが多い(大学によるが、単位になることもある)。

大学によって何をするかは異なると思うのだが、基本的には、博士課程で成功する上で持つべき価値観、博士課程での教員との関係の作り方・規範、Academic ConferenceやPublishingのノウハウ、Job Marketの基礎知識やナビゲートの仕方、学部におけるDiversityを維持する上で持つべき価値観、PoC(=People of Color)研究者としていかに成功するか等々、普段のコースワークでは教えられないが、プロの研究者を目指す上で重要だとされる知識・技能や価値観・規範を教えられる。教育社会学では、学校の授業では公式には教えられないが、在学中に生徒が習得する知識・技能や価値観・規範を「隠れたカリキュラム」と呼ぶ(注1)が、プロセミは大学院博士課程レベルにおける「隠れたカリキュラム」を「公式のカリキュラム」にして、院生間の「隠れたカリキュラム」習得格差を無くそうとする取り組みと考えることができるかもしれない。なお、最近のアメリカの大学院における「隠れたカリキュラム」に関する議論はこの有名な教育社会学者によるブログの投稿も参照されたい。

さて、実はブラウンの社会学部ではプロセミは公式のコースワークとしては存在しない。その代わり、それに代替する措置として、(1)1年生の秋学期の古典社会学理論(必修)の最初の15分で、毎週教員がプロフェッショナルディベロップメント用トピックを話し、質問を受ける措置が取られるとともに、(2)1-2年生は学期中の月曜の昼休みにプロセミランチへの参加が義務付けられている(1年に15回程度)。プロセミランチでは毎回トピックが決められ、1-2年生が教員や先輩の院生から学ぶということになっている。なお、3-6年生でも継続的に参加している人は多い。

さて、このプロセミランチであるが、院生二人からなるプロセミ企画委員によって運営される。私はブラウンに来てから二年間は何の委員にもならずにフリーライドしてしまっていたのだが(皮肉にも、「できる限り大学での役職につくのを避けろ」というのは一年目のプロセミで受けたアドバイスの一つだった!)、三年目にして断りきれずにこの役職が当たってしまった(他の役職は新任教員の公募に関わったり、ハラスメントの対策を考えたりせねばならない重いもので、さらに忙しそうだった)。なった以上は責任を持って職責を全うするつもりだ。とりあえず学部から2000ドルの予算が与えられ、その予算内で自由に企画して良いという連絡がきた。本日、二人で最初の会議をしたのだが、以下の路線で考えている。

・博士課程の1-2年目をどう過ごすか / 講師:3-6年生のパネリスト4名
・2nd Year Paper(=修論)の進め方と投稿・出版 / 講師:3-6年のパネリスト4名
・大学院における結婚・出産・育児 / 講師:育児中の3-6年のパネリスト4名
・学会について/ 講師:院生・教員のパネリスト数名
・アカデミックジョブマーケットの基礎知識とノウハウ / 講師:教員のパネリスト数名
・ノンアカデミックジョブマーケットの基礎知識とノウハウ/ 講師:未定
・新任教員を知る:新任Assistant Prof&Associate Prof 2名
・現役教員を知る:若手Assistant Prof&Associate Prof 2名
・2000ドルは全て各回のランチに使う

他にもアイデアを模索中である。2017年秋学期から二年間このイベントに出ていた経験から思うのは、就職したばかりの若手のAPを一人招いて、院生時代の経験とジョブマーケットの経験について話してもらい、そこからみんなで質問ぜめにするのが一番勉強になった。なので、僕が下手にテーマベースで企画しない方がいいのかもしれないとも思う。また、教員がいないことがプラスに働くことがある(教員との関係に関する質問をしやすい)ことだ。

最後に。このプロセミは企画側になると面倒だが、院生間における情報格差を小さくする方法としてはとても良い取り組みだと考えている。日本の文系大学院は指導教員とその指導学生を基礎とした「ゼミ」ベースでこうした知識や規範が伝達されることが期待されていると思うが、この方式では指導教員による格差が大きくなるという問題があるように思われる。アメリカの文系大学院の全てが良いとは思わないが、どのような形であれ、学部がバックアップする形でプロセミを開催して「隠れたカリキュラム」を「公式のカリキュラム」に変えていくやり方は取り入れたら良いのかもしれない。

注1)なお、この「隠れたカリキュラム」という言葉は、用いられ方にかなり幅がある。私のこの用法がおかしいと思う方がおられたら、すいません。


2019年8月27日火曜日

ロードアイランド州はほぼ「島」ではない

現在、全米で最小面積のロードアイランド州の州都プロビデンスに住んでいる。かなりマイナーな州で、アメリカ憲法や宗教史の研究者でない限り、ロードアイランドを知らなくても当然である。知らなくて当然なものの、「ロードアイランドに住んでいる」と言うと、「島に住んでいる」という誤解をよくされるようになり、少し気になったので、ここでその誤解を正しておきたい。

実は、ロードアイランド州の正式名称はロードアイランド州 (State of Rhode Island) ではなく、ロードアイランド州及びプロビデンス植民地* (State of Rhode Island and Providence Plantations)である。これは、もともとの英国から独立前には、ロード島(現在はアクィドネック島と呼ばれている)とプロビデンスにあった植民地が Colony of Rhode Island and Providence Plantationsとして英国王に認可される形で始まったことに背景がある。下の地図は現在のロードアイランド州である。州の大部分は大陸に属しており、なおかつ、州都のプロビデンスはロード島にはない。ただ、「ロードアイランド州及びプロビデンス植民地」と呼ぶのはあまりにも長いので、略して「ロードアイランド州」と呼ばれているということなのである。

ロードアイランドの地図
出典:フリー地図を筆者が加工


日本に無理やり例えると兵庫県が「淡路島と神戸植民地」として始まり、後に名前が長くてめんどくさいので「淡路島県」になったようなものだ。そして、そういう世界で、神戸に住んでいる人が「島には住んでない!」と言ってブログを書いているのを想像していただきたい。もちろん、例えが無理やりすぎるかもしれないが、実際にプロビデンスからロード島へは橋で繋がっており簡単に行ける(ブラウンの学生証あれば無料でバスで1時間で行ける)し、淡路島と神戸の関係に似ている気がする。

最後に、もう一つよくある間違えを正しておきたい。私の住んでいるのはプロビンス(Province)ではなく、プロビデンス(Providence)である。前者は英語ではカナダの州などに使われる行政区分を意味する単語であり、後者は神の導きや摂理という意味があって、全然違う。プロビデンスと名付けられた理由は、プロビデンス植民地の創設者のロジャー・ウィリアムズ牧師の興味深い歴史に関係しており、最終的には米国の政教分離や信教の自由とも関わっくるのだが、ロジャー・ウィリアムズについてはもう少し本格的に勉強してからまた書きたい。


*Plantationsは大農場を指す「プランテーション」と訳す場合もあるが、この文脈では「植民地」が適切であろうと思う。

2019年8月23日金曜日

渡米2周年記念

昨日が渡米二周年だった。羽田空港で飛行機に搭乗したのが2017年8月21日夕方、ロサンゼルス経由でプロビデンスに降り立ったのが東部時間の8月21日午後11時ごろ、今住んでいるカレッジヒルの自宅に到着したのが日が回って22日の午前1時前後。米で使える携帯番号をまだ持っていなかったので、タクシーに乗ってしまい、uberで15-20ドルの道のりで50ドルを請求された(が、何の疑いもなく支払った)のは今となっては良い思い出である。

二周年を機にこれまでを少し振り返りたい。ここ二年間の間に16科目分のコースワークが終わり、プレリム試験も1/2つ終わり、TAになるための模擬授業にもパスした。

留学して良かったか?研究者になることが現時点でのキャリア的な目標だと考えると、二つの点でとても良かったと考えている。一点目は知識・技術面である。残念ながら?、東大とブラウンでの学びを比べると、量・質ともにブラウンの方が上である。感覚的には東大の三年分がブラウンの一年分くらいである。「勉強ばかりするな」という批判はあるのだろうが、コースワークやプレリム試験準備で論文を多読して自分の専門のサブフィールドの先行研究の蓄積の体系的な理解を得ることや、計量分析や質的分析の手法に関してより正確な知識を得ることは、とても有益だった。もちろん、独学でできることを私の怠慢でやっていなかったという見方もできるが、アメリカにきて強制的に身に付く環境に身をおいたことは正解だったと考えている。

次に研究に関してだが、これもアメリカに来たことが正解だった。私はアメリカと西ヨーロッパにおける国際移民の社会統合に関心があって、修士時代はアメリカとヨーロッパの社会学の先行研究に自分の研究を位置付けようとしていたが、あまりうまくいかなかった。アメリカ及び西ヨーロッパの移民研究はアメリカ、オランダ、ドイツ、スウェーデン、イギリスにある30程度の大学/研究機関が中心となっており、そのネットワークの中にいる人たちから離れたところで欧米の研究者に相手にされるような研究をなすのは、少なくとも院生レベルでは、なかなか難しいことだと思う。もちろん類い稀な才能によってこれができる人もいるのだが、私には無理だった。東大の研究環境が悪かったというわけではなく、私の自分の能力に関する認識とテーマ設定の甘さにあったと思う。今から考えると、日本にいる間は日本への移民受け入れをテーマに設定しておくべきだった(ただ、日本に設定していたら海外留学しようと思っていなかったと思うので、日本の研究をしていなくて良かったのかもしれない)。なお、現時点で素晴らしい研究ができるいるわけではないのだが、少なくともアメリカの移民研究の中心ネットワーク(アメリカでの移民研究はUCLA、UCアーバイン、UCバークレー、ペンステート、コーネル、ブラウン、プリンストン、CUNYになるだろう)の中にいて、最先端の研究をしている人たちにすぐにコメントをもらいにいける状態に自分を置くことはできている。さらにはアメリカの移民研究の中でなされている研究テーマ群、有力研究者、大学/研究機関の相互関係が見えてくるようになって、「移民研究」にどこまで自分の研究を依拠するかについても考えが固まってきた(いつかこれについては別に書きたい)。

精神や身体の健康面でいうと、留学して本当に良かったかはまだわからない。今年に入ってから消化器系の調子を崩してアメリカ&日本で何度か精密検査を受け、先月ようやく原因がわかったことはすでにブログに書いたが、留学して色んな経験をして打たれ強くなった側面もあるのと共に、ダメージが蓄積して打たれやすくなった側面もある気がする。また、親しい友人や恋人との間に大陸と大洋があることで、辛いことや不都合なこともたくさんあった。長い目で見て絶対に良かったと思う点は、弱い人に対する共感力が格段に高まったことだ。演習での発言や研究発表で「アメリカのことを知らない奴」扱いされること(話を最後まで聞かずにそう判断されるととても悔しいし、米アクセントで肌がより白かったら話を聞いてくれたんじゃないか!?と思ってしまうことがある)、TAとして学生を外国語で教えなければならないこと、外国ですこぶる体調が悪くなること、などなど異国で現地の学生と対等に生き残ろうとする中で苦しいことはたくさんある。様々な場面で弱い立場におかれる中で、今まで頭では理解していても、身体では経験していなかった弱さを経験できたのは今後生きていく中でプラスになると思う。

また、こちらで新しい友人たちとの出会いを与えられていることも留学して良かったことだ。ブラウン社会学部は毎年8名前後しか入学させないのだが、僕の入学年だけ15人いたことで、留学生も多く、かなり仲がよくなることができた。また、一昨年の10月にニューハンプシャー州の森の中でのリトリートに参加した時にたまたま知り合った僕より一つ若い中国人の友人(計算機科学専攻)とは馬が合い、以降、毎週食事を一緒にしている。

最後に、信仰について。アメリカ行きが決定してから覚悟はしていたのだが、アメリカのキリスト教会には馴染めずにいる。近くの教会の礼拝には毎週出席しているが、なぜか自分が浮いている(皆と一致できていない)気がする。こう感じるのは自分の所属している教会の中だけではなく、オンライン等でアメリカのキリスト教会を代表するリーダーたちの書いたものを読んで覚える強い違和感も背景にある。もちろん、アメリカにも尊敬するクリスチャンはおり、多種多様なアメリカのキリスト教をこんなにざっくりくくって批判するのは稚拙であろうが、いわゆる「主流派」キリスト教に対しても、「福音派」キリスト教に対しても違和感を覚えてしまう。昨日まで朝の読書の時間を使って内村鑑三の自伝『余はいかにして基督信徒となりし乎』を再読していたのだが、内村が留学先のアメリカの「正統派」キリスト教を批判するところを読んで共感してしまった。おそらく自分の内面とも関係があるように思うので、また自分との対話が進んだら考えを書きたい。

ブラウンの社会学部では三年生最終学期までコースワークをとらなければならないので、Ph.D.取得までにはあとコースワーク一年分、プレリム試験一つ、博論計画書ディフェンス、実際の博論提出が残っている。あと四年くらいだと思うが、与えられている環境を大切にして、与えられた燃料分は丁寧に走りきるようにしたい。


最近は毎朝ゆっくり家のテラスで朝ごはんを食べ、読書をしている。
フレンチトースト&ミニトマト&ブルーベリーが定番メニューとして確立された。


2019年7月24日水曜日

一時帰国:高山と金沢と京都

一時帰国中である。最初の一週間は東京で過ごして諸々の仕事を済ませた後、事情があって岐阜県の高山市に3泊していた。自分にとってこれまで岐阜県は「通過」することはあっても「滞在」することはない場所だったのだが、予想以上に面白い場所で、また近いうちに今度は観光で行ってみたい。

高山市の中心部は昔ながらの街並みがきちんと残っており、さらには銀座や原宿にありそうなお洒落なカフェが立ち並んでいた。観光客は中国とヨーロッパ(特にスペインとフランス)からの観光客が驚くほど多く、平日の朝は日本語よりもスペイン語やフランス語や中国語の方が優勢だった。

高山市内
足を伸ばして白川郷へも行ってみたが、予想していた通りにかなり綺麗な場所だった。

白川郷

飛騨高山のレストランの食事はどれも驚くほど美味しく、特に最高クラスの飛騨牛をほうば味噌と一緒に食べる定食は最高だった。高山らーめんもシンプルで美味しかった。個人的には実家のある京都よりもおすすめできる観光場所である。

飛騨牛とほうば味噌定食

高山らーめん甚五郎

飛騨牛寿司


高山を去った後、霞ヶ関の某省キャリアの友人と金沢に旅行に行ってきた。1日目と2日目午前は金沢で金沢城、兼六園、21世美術館、和辻哲郎館を見学し、2日目午後からは和倉温泉に移動して海の前の温泉旅館で特に何もせずに過ごした。ゆっくりできた3日間だったと思う。

能登温泉の旅館「海望」からの景色


現在は実家のある京都市に戻って、今年の3月からの消化器不調の原因を調べている。1日目はアメリカでもやったエコー検査(腎臓、膵臓、肝臓)と血液検査、2日目は胃カメラによる食道と胃の検査で、現在は(念の為)胃の粘膜の組織検査の結果待ちである。幸いなことに胃カメラ検査で不調の原因がかなりはっきりわかり、詳しくはここでは述べないが、処方薬を一定期間(1−2ヶ月?)飲み続けることで対処可能という診断だった。3月は修論や学会で忙しい中、2週間ほどきちんとものが食べれずヨーグルトを飲んで過ごし、回復してからも1週間に2−3日は胃部の不快感に悩まされ、不定期に吐き気を催すという結構苦しい半年間だったが、なんとかなりそうな気がしてきた。

最後に近況報告。社会人口学のプレリム試験に無事に合格した。もう一つを来年の1月か6月に受験しなければならない。まだ社会階層論分野にするか国際移民・人種・エスニシティ分野にするかで迷い中だが、社会階層論でいく方が自分のためになり、かつ「事故」(=不合格)が起こる確率も低い気がしている。先生との共著論文も3回のR&Rの末にアクセプトされた。修正をしすぎていてまだ修論の方は投稿できていないが、早いうちにとりあえず最初の投稿をしてしまいたい。

日本に戻っていて完全に止まってしまっていたが、そろそろ研究に戻ろうと思う。

2019年6月13日木曜日

社会人口学文献リスト

社会人口学のプレリム試験の準備にあたり、学部からもらったリストがかなりoutdatedなので、勉強のために自分でも最低限の必読リストを作ることにした(注1)。と同時に、関心のある方の参考にもなれば良いと思って、少し解説も入れたりした。試験のために、このリストの論文はほぼ全部読んだ上で、文献情報だけを見て重要ポイントが頭に浮かんでくるようにしている(文献メモ作成)。なお、このリストは自分の試験目的であって、より代表性のあるリストが必要な方は別のリスト(この投稿の最後参照)を当たった方がいいかもしれない。また試験の性格上、歴史人口学の文献はほぼ入っていない。

以下、各セクションは独断と偏見と都合(僕が論文を覚えやすくする分け方、かつ過去問に答えやすい分類)により分類してあるが、それぞれ繋がっていて明確に分けるのは難しい。★は個人的におすすめな論文(おすすめな理由は様々)。


1. イントロ

Harper (2018)と河野(2007)は社会人口学を簡単につかむのに良い。河野先生は1950年代にブラウンで社会学のPhDを取得されている大先輩。人口学ハンドブックの改定後のBrown (2019)と改定前のHirschman and Tolnay (2005)は良い意味で被っていない。社会人口学の歴史を知りたい方は後者から読むべし。Preston et al. (2001)とRowland (2003)はメソッドの辞書のように用いると良いと思う。次の2. 人口転換論と出生セクションのDyson(2013)も社会人口学の核とも言える人口転換論を理解するためにおすすめである。なお、人口学を批判的に考える文献を求めている方は一気に飛ばして最後の批判的人口学の文献にあたってみていただきたい。

社会人口学分野の主要ジャーナル
社会人口学の代表ジャーナルはDemographyPopulation and Development Reviewで「二大誌」、ないしはPopulation Studiesも入れて「三大誌」とされるらしい(某先生談)。ちなみにブラウンのリストはほぼ全てが二大誌からだが、Population Studiesも目を通すようにという「注意書き」が存在する(昔はPopulation Studiesは今よりはるかに威信が高かった、とのこと)。またDemographic ResearchEuropean Journal of PopulationPopulation Research and Policy Reviewなどの有力ジャーナルにもかなり影響力の高い重要論文が載る (最近の印象では特にDemographic Research)。この他にJournal of Gerontology: Social SciencesStudies in Family PlanningInternational Migration Review、Population and Environment のような人口学の特定のテーマに関するジャーナルや、Journal of Population Economicsのような経済人口学のジャーナル、American Journal of SociologyAmerican Sociological ReviewSocial ForcesJournal of Marriage and Familyのような社会学のジャーナル、American Economic Review、 The Quarterly Journal of Economicsのような経済学のジャーナルも広く社会人口学と関わる重要論文を載せている可能性がある。


人口学入門
Harper, Sarah. 2018. Demography: A Very Short Introduction. Vol. 565. Oxford University Press.
★河野稠果. 2007. 人口学への招待少子・高齢化はどこまで解明されたか中央公論新社.

社会人口学の全体像
Brown, David L. 2019. “18 Social Demography, Space and Place.” Pp. 483–97 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston. Cham: Springer International Publishing.
Hirschman, Charles and Stewart E. Tolnay. 2005. “Social Demography.” Pp. 419–449 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston and M. Micklin. New Yrok: Kluwer Academic/Plenum Publishers.

2. 人口転換論と出生


人口転換論だけで一つのセクションを作るか迷ったが、出生とまとめた。なお、第二人口転換論関係の重要論文の一部(e.g., EspinAndersen et al. 2015やGoldscheider et al. 2015)は家族とジェンダーセクションにある。どれか一つだけ選ぶとしたらDyson(2013)を読むことがおすすめ。


Bongaarts,John. 1978. “A Framework for Analyzing the Proximate Determinants of Fertility.”Population and Development Review4(1):105.
Bongaarts, John and Griffith Feeney. 1998. “On the Quantum and Tempo of Fertility.” Population and Development Review24(2):271.
Bongaarts,John and Susan Cotts Watkins. 1996.“Social Interactions and Contemporary Fertility Transitions.”Population and Development Review22(4):639.
Bryant,John. 2007. “Theories of Fertility Decline and the Evidence from Development Indicators.”Population and Development Review33(1):101–27.
Caldwell,John C. 1976. “Toward A Restatement of Demographic Transition Theory.”Population and Development Review2(3/4):321.
Caldwell,John C. 2005. “On Net Intergenerational Wealth Flows: An Update.”Population and Development Review31(4):721–40.
Cleland, John and Christopher Wilson. 1987. “Demand Theories of the Fertility Transition: An Iconoclastic View.” Population Studies 41(1):5–30.
Coale,Ansley J. and Susan Cotts Watkins,eds. 1986. The Decline of Fertility in Europe. Princeton University Press.
Coleman,David. 2006. “Immigration and Ethnic Change in Low-Fertility Countries: A Third Demographic Transition.”Population and Development Review32(3):401–46.
Davis,Kingsley. 1963.“The Theory of Change and Response in Modern Demographic History.”Population Index29(4):345.
Dyson,Tim. 2013. Population and Development: The Demographic Transition. Zed Books Ltd.
Goldstein,Joshua,Wolfgang Lutz,and Maria Rita Testa. 2003. “The Emergence of Sub-Replacement Family Size Ideals in Europe.”Population Research and Policy Review22(5/6):479–96.
Goldstein, Joshua R., Tomáš Sobotka, and Aiva Jasilioniene. 2009. “The End of ‘Lowest‐Low’ Fertility?” Population and Development Review 35(4):663–699.
Kravdal, Øystein and Ronald R. Rindfuss. 2008. “Changing Relationships between Education and Fertility: A Study of Women and Men Born 1940 to 1964.” American Sociological Review73(5):854–73.
Lesthaeghe,Ron. 2010. “The Unfolding Story of the Second Demographic Transition.”Population and Development Review36(2):211–51.
Mason, Karen Oppenheim. 1997. “Explaining Fertility Transitions.” Demography34(4):443.
Morgan,S. Philip. 2003. “Is Low Fertility a Twenty-First-Century Demographic Crisis?”Demography40(4):15.
Sobotka,Tomáš. 2004. “Is Lowest-Low Fertility in Europe Explained by the Postponement of Childbearing?”Population and Development Review30(2):195–220.
Watkins,Susan Cotts. 1990.“From Local to National Communities: The Transformation of Demographic Regimes in Western Europe,1870-1960.”Population and Development Review16(2):241.
Zaidi,Batool and S. Philip Morgan. 2017. “The Second Demographic Transition Theory: A Review and Appraisal.”Annual Review of Sociology43(1):473–92.


3. 家族・教育と社会人口学

社会学には家族社会学と教育社会学いう巨大なサブフィールドがあり、そちらと一緒に勉強すると効率が良いのかもしれない。家族・結婚、ジェンダー、教育・再生産の3つのセクションに分けてみた。

家族・結婚
Cherlin, Andrew J. 2005. “American Marriage in the Early Twenty-First Century.” The Future of Children 15(2):33–55.
Hajnal, John. 1982. “Two Kinds of Preindustrial Household Formation System.” Population and Development Review 8(3):449–94.
Haskins, Ron and Isabel V. Sawhill. 2016. “The Decline of the American Family: Can Anything Be Done to Stop the Damage?” edited by L. M. Bartels. The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science 667(1):8–34.
Kalmijn, Matthijs. 2013. “The Educational Gradient in Marriage: A Comparison of 25 European Countries.” Demography 50(4):1499–1520.
Kennedy, Sheela and Steven Ruggles. 2014. “Breaking Up Is Hard to Count: The Rise of Divorce in the United States, 1980–2010.” Demography51(2):587–98.
Ruggles, Steven. 2007. “The Decline of Intergenerational Coresidence in the United States, 1850 to 2000.” American Sociological Review 72(6):964–89.
Ruggles, Steven. 2015. “Patriarchy, Power, and Pay: The Transformation of American Families, 1800–2015.” Demography52(6):1797–1823.
Seltzer, Judith A. 2019. “Family Change and Changing Family Demography.” Demography 56(2):405–26.
Sweeney, Megan M. 2002. “Two Decades of Family Change: The Shifting Economic Foundations of Marriage.” American Sociological Review 67(1):132.
Qian, Zhenchao and Daniel T. Lichter. 2007. “Social Boundaries and Marital Assimilation: Interpreting Trends in Racial and Ethnic Intermarriage.” American Sociological Review 72(1):68–94.

ジェンダー
Cherlin (2016)Esping-Andersen (2015)Goldscheider (2015)への応答をしている。Esping-Andersen (2015)Goldscheider et al. (2015)Lesthaeghe (2010)とともに近年のPDR論文の中で最も引用を稼いでいる高インパクト論文である。

Cherlin, Andrew J. 2016. “A Happy Ending to a Half-Century of Family Change?” Population and Development Review 42(1):121–29.(なお、この論文はEspin-AndersenとGoldscheiderへの応答)
England, Paula. 2010. “The Gender Revolution: Uneven and Stalled.” Gender & Society 24(2):149–66.
Esping-Andersen, Gøsta and Francesco C. Billari. 2015. “Re-Theorizing Family Demographics.” Population and Development Review41(1):1–31.
Goldscheider, Frances, Eva Bernhardt, and Trude Lappegård. 2015. “The Gender Revolution: A Framework for Understanding Changing Family and Demographic Behavior.” Population and Development Review 41(2):207–39.
McDonald, Peter. 2000. “Gender Equity in Theories of Fertility Transition.” Population and Development Review 26(3):427–439.
Short, Susan E., Frances K. Goldscheider, and Berna M. Torr. 2006. “Less Help for Mother: The Decline in Coresidential Female Support for the Mothers of Young Children, 1880-2000.” Demography 43(4):617–29.

再生産・教育
修士時代は教育社会学を専攻するところにいたので、社会人口学的枠組みを教育社会学に本格的に取り入れるとどうなるのか考えることがあるのだが、その際にLam and Marteleto (2013)はとても参考になると思う。Reardonは世界の教育学者の中では一番人口学コミュニティで有名なのではないだろうか。Segregation研究でも有名なのだが、Whither Opportunityという結構有名な本に収められているこの(少しふわっとした)学力格差の論文(解説)が特に有名。先日ブラウンの人口学センターで講演をされた時に話す機会があり、どのディシプリンにアイデンティティを一番感じるのか聞いて見たら「教育経済学者と時々間違えられるが自分は教育社会学者」と言っていた(本人は教育学PhD)。今後スタンフォードのSEDAのデータからたくさん論文がでると思うので楽しみである。

Fomby, Paula and Andrew J. Cherlin. 2007. Family Instability and Child Well-Being. American Sociological Review 72(2):181204.
Kornrich, Sabino and Frank Furstenberg. 2013. Investing in Children: Changes in Parental Spending on Children, 19722007. Demography 50(1):123.
Lam, David and Letícia Marteleto. 2008. Stages of the Demographic Transition from a Childs Perspective: Family Size, Cohort Size, and Childrens Resources. Population and Development Review 34(2):22552.
Mare, Robert D. 2011. A Multigenerational View of Inequality. Demography 48(1):123.
McLanahan, Sara. 2004. Diverging Destinies: How Children Are Faring under the Second Demographic Transition. Demography 41(4):607627.
Reardon, Sean F. 2011. The Widening Academic Achievement Gap between the Rich and the Poor: New Evidence and Possible Explanations. Whither Opportunity 91116.

4. 健康と死亡

 この分野は日本で社会学を専攻した経験のある自分には馴染みが一番薄かったのだが、人口転換論の主力説では死亡率の低下が出生率の低下、都市化、高齢化、等々の全ての遠因であると考えられており、極めて重要。また、こちらの社会学者・人口学者・経済学者が健康を研究しまくっているもう一つの原因は有力な資金源がアメリカ国立衛生研究所(NIH)なことも背景にありそう。

健康と格差(幼少期の健康状態の影響中心)
Blackwell, Debra L., Mark D. Hayward, and Eileen M. Crimmins. 2001. “Does Childhood Health Affect Chronic Morbidity in Later Life?” Social Science & Medicine52(8):1269–84.
Eileen M. Crimmins, Mark D. Hayward, Aaron Hagedorn, Yasuhiko Saito, and Nicolas Brouard. 2009. “Change in Disability-Free Life Expectancy for Americans 70 Years Old and Older.” Demography46(3):627–46.
Elo, Irma T. 2009. “Social Class Differentials in Health and Mortality: Patterns and Explanations in Comparative Perspective.” Annual Review of Sociology35(1):553–72.
Finch, C. E. 2004. “Inflammatory Exposure and Historical Changes in Human Life-Spans.”Science305(5691):1736–39.
Jackson, M. I. 2010. “A Life Course Perspective on Child Health, Cognition and Occupational Skill Qualifications in Adulthood: Evidence from a British Cohort.” Social Forces89(1):89–116.
Hayward, Mark D. and Bridget K. Gorman. 2004. “The Long Arm of Childhood: The Influence of Early-Life Social Conditions on Men’s Mortality.” Demography41(1):87–107.
Palloni, Alberto. 2006. “Reproducing Inequalities: Luck, Wallets, and the Enduring Effects of Childhood Health.” Demography43(4):587–615.
Smith, James P. 2004. “Unraveling the SES Health Connection.” Population and Development Review.
Yang, Y. and L. C. Lee. 2009. “Sex and Race Disparities in Health: Cohort Variations in Life Course Patterns.” Social Forces87(4):2093–2124.

死亡率
Caldwell, John C. 1986. “Routes to Low Mortality in Poor Countries.” Population and Development Review12(2):171.
Cutler, David and Grant Miller. 2005. “The Role of Public Health Improvements in Health Advances: The Twentieth-Century United States.” Demography42(1):1–22.
Garenne, Michel. 2006. “Health Transitions in Sub-Saharan Africa: Overview of Mortality Trends in Children under 5 Years Old (1950-2000).” Bulletin of the World Health Organization84(6):470–78.
McKeown, Thomas and R. G. Record. 1962. “Reasons for the Decline of Mortality in England and Wales during the Nineteenth Century.” Population Studies16(2):94–122.
Preston, Samuel H. 1975. “The Changing Relation between Mortality and Level of Economic Development.” Population Studies29(2):231.
Kuhn, Randall. 2010. “Routes to Low Mortality in Poor Countries Revisited.” Population and Development Review36(4):655–92.
Lutz, Wolfgang and Endale Kebede. 2018. “Education and Health: Redrawing the Preston Curve: Education and Health.” Population and Development Review44(2):343–61.
Soares, Rodrigo R. 2005. “Mortality Reductions, Educational Attainment, and Fertility Choice.” American Economic Review95(3):580–601.
Soares, Rodrigo R. 2007. “On the Determinants of Mortality Reductions in the Developing World.” Population and Development Review33(2):247–287.

HIV/AIDS
Bongaarts, John, Thomas Buettner, Gerhard Heilig, and François Pelletier. 2008. “Has the HIV Epidemic Peaked?” Population and Development Review34(2):199–224.
Heuveline, Patrick. 2014. “Impact of the HIV Epidemic on Population and Household Structure: The Dynamics and Evidence to Date.” AIDS18(2):45–53.

5. 高齢化


この分野はGerontologyという別の学問としてかなり独立しているのだが、社会人口学の一部と考えられなくもない気がする。僕が読んだものは少なめ。Preston (1984)は会長講演で日本の現状にとてもrelevantな気がする。VaupelはScienceNatureに何本も載せているのでそちらを読んだ方がいいもしれないが、このVaupel (2004)は彼のライフストーリーが研究と絡む形で出てきて面白いのでおすすめ。


Bongaarts, John. 2006. “How Long Will We Live?” Population and Development Review605–628.
Crimmins, Eileen M., Mark D. Hayward, Aaron Hagedorn, Yasuhiko Saito, and Nicolas Brouard. 2009. “Change in Disability-Free Life Expectancy for Americans 70 Years Old and Older.” Demography46(3):627–46.
Preston, Samuel H. 1984. “Children and the Elderly: Divergent Paths for America’s Dependents.” Demography21(4):435–457.
Preston, Samuel H. and Andrew Stokes. 2012. “Sources of Population Aging in More and Less Developed Countries.” Population and Development Review38(2):221–36.
Vaupel, James W. 2004. “The Biodemography of Aging.” Population and Development Review30:48–62.

6. 国際移住


以下、かなりアメリカ中心な独断と偏見に基づいたリスト。国際移住の研究には移動そのものを研究するもの (e.g., Massey and Espinosa 1997)と移住後の同化/統合を研究するもの (e.g., Alba and Nee 1997)に大別できるが、前者の研究が多めになっている。経済学の論文は、メソッドで有名なもの(e.g., Card 1990→DID、Card 2001→Shift Share IV、Munshi 2003→雨IV)をあげておいた。なお、国内移住と国際移住は連続的に考えた方が良いかもしれないが、便宜上分けた。

Abel, Guy J. 2018. “Estimates of Global Bilateral Migration Flows by Gender between 1960 and 2015.” International Migration Review 809–52.
Alba, Richard and Victor Nee. 1997. “Rethinking Assimilation Theory for a New Era of Immigration.” The International Migration Review 31(4):826–74.
Bean, Frank D., Susan K. Brown, and James D. Bachmeier. 2015. Parents Without Papers: The Progress and Pitfalls of Mexican American Integration. Russell Sage Foundation.
Borjas, George J. 1985. “Assimilation, Changes in Cohort Quality, and the Earnings of Immigrants.” Journal of Labor Economics 3(4):463–89.
Card, David. 1990. “The Impact of the Mariel Boatlift on the Miami Labor Market.” Industrial and Labor Relations Review 43(2):245–57.
Card, David. 2001. “Immigrant Inflows, Native Outflows, and the Local Labor Market Impacts of Higher Immigration.” Journal of Labor Economics 19(1):43.
Curran, Sara R. and Estela Rivero-Fuentes. 2003. “Engendering Migrant Networks: The Case of Mexican Migration.” 40(2):19.
Czaika, Mathias, Hein de Haas, and María Villares-Varela. 2018. “The Global Evolution of Travel Visa Regimes: The Global Evolution of Travel Visa Regimes.” Population and Development Review 44(3):589–622.
Feliciano, Cynthia. 2005. “Educational Selectivity in U.S. Immigration: How Do Immigrants Compare to Those Left Behind?” Demography42(1):131–52.
Feliciano, Cynthia and Yader R. Lanuza. 2017. “An Immigrant Paradox? Contextual Attainment and Intergenerational Educational Mobility.” American Sociological Review 82(1):211–41.
Fussell, Elizabeth and Douglas S. Massey. 2004. “The Limits to Cumulative Causation: International Migration From Mexican Urban Areas.” Demography41(1):151–71.
Garip, Filiz. 2012. “Discovering Diverse Mechanisms of Migration: The Mexico-US Stream 1970-2000.” Population and Development Review38(3):393–433.
Gordon, Milton Myron. 1964. Assimilation in American Life: The Role of Race, Religion, and National Origins. Oxford University Press.
Hirschman, Charles. 2005. “Immigration and the American Century.” Demography 42(4):595–620.
Massey, Douglas S., Joaquin Arango, Graeme Hugo, Ali Kouaouci, Adela Pellegrino, and J. Edward Taylor. 1993. “Theories of International Migration: A Review and Appraisal.” Population and Development Review 19(3):431.
Massey, Douglas S. and Kristin E. Espinosa. 1997. “What’s Driving Mexico-U.S. Migration? A Theoretical, Empirical, and Policy Analysis.” American Journal of Sociology 102(4):939–99.
Massey, Douglas S., Luin Goldring, and Jorge Durand. 1994. “Continuities in Transnational Migration: An Analysis of Nineteen Mexican Communities.” American Journal of Sociology 99(6):1492–1533.
Massey, Douglas S. and Karen A. Pren. 2012. “Unintended Consequences of US Immigration Policy: Explaining the Post-1965 Surge from Latin America.” Population and Development Review38(1):1–29.
Munshi, K. 2003. “Networks in the Modern Economy: Mexican Migrants in the U. S. Labor Market.” The Quarterly Journal of Economics 118(2):549–99.
Park, Julie and Dowell Myers. 2010. “Intergenerational Mobility in the Post-1965 Immigration Era: Estimates by an Immigrant Generation Cohort Method.”Demography 47(2):369–392.
Portes, Alejandro and Min Zhou. 1993. “The New Second Generation: Segmented Assimilation and Its Variants.” The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science530(1):74–96.
White, Michael J. and Jennifer E. Glick. 2009. Achieving Anew: How New Immigrants Do in American Schools, Jobs, and Neighborhoods. Russell Sage Foundation. 
Zhou, Min. 1997. “Segmented Assimilation: Issues, Controversies, and Recent Research on the New Second Generation.” International Migration Review31(4):975.


7. 都市化と国内移住


  この分野はブラウン社会学部の伝統的な強みなのだが、残念ながら私はかなり弱い。加えて、都市化と国内移住のための別のプレリム試験が存在するようなので、社会人口学の試験ではここが問われる可能性は低いだろうと思ってまだちゃんと勉強できずにいる。なのでこのリストは参考程度にして欲しい。人口転換論と都市化の関係を簡潔に示したDyson (2011)と最新の人口学ハンドブックのWhite and Lindstrom (2019)は参考になる気がする。

Bruch, Elizabeth E. and Robert D. Mare. 2006. “Neighborhood Choice and Neighborhood Change.” American Journal of Sociology112(3):667–709.
Dyson, Tim. 2011. “The Role of the Demographic Transition in the Process of Urbanization.” Population and Development Review37:34–54.
Fussell, Elizabeth, Narayan Sastry, and Mark VanLandingham. 2010. “Race, Socioeconomic Status, and Return Migration to New Orleans after Hurricane Katrina.” Population and Environment31(1–3):20–42.
Garip, Filiz. 2008. “Social Capital and Migration: How Do Similar Resources Lead to Divergent Outcomes?” Demography45(3):591–617.
Gray, Clark and Richard Bilsborrow. 2013. “Environmental Influences on Human Migration in Rural Ecuador.” Demography50(4):1217–41.
Korinek, Kim, Barbara Entwisle, and Aree Jampaklay. 2005. “Through Thick and Thin: Layers of Social Ties and Urban Settlement among Thai Migrants.” American Sociological Review70(5):779–800.
Liang, Zai and Zhongdong Ma. 2004. “China’s Floating Population: New Evidence from the 2000 Census.” Population and Development Review30(3):467–88.
Logan, John R., Brian J. Stults, and Reynolds Farley. 2004. “Segregation of Minorities in the Metropolis: Two Decades of Change.” Demography41(1):1–22.
Luke, Nancy. 2010. “Migrants’ Competing Commitments: Sexual Partners in Urban Africa and Remittances to the Rural Origin.” American Journal of Sociology115(5):1435–79.
Massey, Douglas S. and Nancy A. Denton. 1988. “Suburbanization and Segregation in U.S. Metropolitan Areas.” American Journal of Sociology94(3):592–626.
Quillian, Lincoln. 1999. “Migration Patterns and the Growth of High‐Poverty Neighborhoods, 1970‐‐1990.” American Journal of Sociology105(1):1–37.
Ravallion, Martin, Shaohua Chen, and Prem Sangraula. 2007. “New Evidence on the Urbanization of Global Poverty.” Population and Development Review33(4):667–701.
Sampson, Robert J. and Patrick. Sharkey. 2008. “Neighborhood Selection and the Social Reproduction of Concentrated Racial Inequality.” Demography45(1):1–29.
Stark, Oded and David E. Bloom. 1985. “The New Economics of Labor Migration.” The American Economic Review75(2):173–78.
Tolnay, Stewart E. 1998. “Educational Selection in the Migration of Southern Blacks, 1880–1990.” Social Forces77(2):487–514.
White, Michael J. and David P. Lindstrom. 2019. “15 Internal Migration.” Pp. 383–419 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston. Cham: Springer International Publishing.

8. 人口と開発


このトピックは社会人口学というよりは経済人口学や開発学のトピックだと思う。論文中に"demographic dividend"とか出てきたらだいたいそれ系。かなり苦手意識のあるテーマだが、所属大学が開発経済学/開発社会学に強いためにこういう研究も一応読まされるのかもしれない。かなりざっくりいうと他のセクションの研究は人口学的変数(e.g., 出生、死亡、移住)を従属変数としているが、このセクションの一連の研究はマクロな人口学的な変数(特に人口増加と年齢構造)を独立変数としていると考えるとわかりやすいだろう。マルサスの『人口論』や国際移民セクションのCard(1990)のマイアミのボート難民や、Card (2001)のシフトシェアIVによる移民の労働市場への影響の研究もこのセクションにいれてもいいかもしれない。


Bloom, David and David Canning. 2008. “Global Demographic Change: Dimensions and Economic Significance.” Population and Development Review34:17–51.
Bloom, David E. and Jeffrey G. Williamson. 1998. “Demographic Transitions and Economic Miracles in Emerging Asia.” The World Bank Economic Review12(3):419–55.
Coale, Ansley J. 1978. “Population Growth and Economic Development: The Case of Mexico.” Foreign Affairs56(2):415.
Crespo Cuaresma, Jesús, Wolfgang Lutz, and Warren Sanderson. 2014. “Is the Demographic Dividend an Education Dividend?” Demography51(1):299–315.
Lee, Ronald and Andrew Mason. 2010. “Fertility, Human Capital, and Economic Growth over the Demographic Transition.” European Journal of Population26(2):159–82.
Mason, Andrew and Ronald Lee. 2006. “Reform and Support Systems for the Elderly in Developing Countries: Capturing the Second Demographic Dividend.” Genus62(2):11–35.


9. 人口学と方法論

このセクションはテーマがでかすぎるのだが、基本的な目的は自分の試験にメソッドセクションがあり、それに対応するため。人口学における因果推論についてどう考えるかとか、質的調査をどう取り入れるかを考えさせたりするような問題が多い印象なのでここら辺を読んで勉強している。勝手な都合で5つのセクションに分けた。


人口学の方法(教科書)
Preston, S., Patrick Heuveline, and Michael Guillot. 2000. “Demography: Measuring and Modeling Population Processes. 2001.” Malden, MA: Blackwell Publishers.
Rowland, Donald T. 2003. “Demographic Methods and Concepts.” OUP Catalogue.


人口学と因果推論
Bhrolcháin, Máire Ní and Tim Dyson. 2007. “On Causation in Demography: Issues and Illustrations.” Population and Development Review33(1):1–36.
Duncan, Greg J. 2008. “When to Promote, and When to Avoid, a Population Perspective.” Demography45(4):763–84.
Engelhardt, Henriette, Hans-Peter Kohler, and Alexia Prskawetz, eds. 2009. Causal Analysis in Population Studies: Concepts, Methods, Applications. Dordrecht: Springer.
Moffitt, Robert. 2003. “Causal Analysis in Population Research: An Economist’s Perspective.” Population and Development Review29(3):448–58.
Moffitt, Robert. 2005. “Remarks on the Analysis of Causal Relationships in Population Research.” Demography42(1):91–108.
Smith, Herbert L. 2003. “Some Thoughts on Causation as It Relates to Demography and Population Studies.” Population and Development Review29(3):459–69.
Winship, Christopher and Stephen L. Morgan. 1999. “The Estimation of Causal Effects from Observational Data.” Annual Review of Sociology25(1):659–706.


APCモデル

因果推論は経済学から入ってきたメソッドと言えるだろうが、APCモデル的な考え方は人口学に特有な気がするので、特別に取り上げておく。特にコホートの考え方を洗練させたこと(Ryder 1965)と、その歴史(Elder and George 2016)は重要な気がする。APCはいくつか方法が提唱されているが、自分も細かいことはわかっていない。APCモデルによる分析のイメージを掴みたい方はYang (2008)の幸福感に関するASR論文が一番良いと思う。このテーマでの最近の白熱バトルをみたい方はYang et al. (2008)とLuo (2013)とそれについたたくさんのコメントを読むと面白いと思う。APCモデルはいわゆる統計的因果推論とは縁がなさそうだと思っていたのだが、Winship and Harding (2008)は因果推論セクションのEngelhardt et al.の本にSmithが寄稿した論文(Smith 2009)で取り上げられている。Decompositionも人口学に特有なメソッド(&考え方)だと思うが、勉強不足で対応できていない。


Elder, Glen H. and Linda K. George. 2016. “Age, Cohorts, and the Life Course.” Pp. 59–85 in Handbook of the Life Course, edited by M. J. Shanahan, J. T. Mortimer, and M. Kirkpatrick Johnson. Cham: Springer International Publishing.
Luo, Liying. 2013. “Assessing Validity and Application Scope of the Intrinsic Estimator Approach to the Age-Period-Cohort Problem.” Demography 50(6):1945–67.
Ryder, Norman B. 1965. “The Cohort as a Concept in the Study of Social Change.” American Sociological Review 30(6):843–61.
Yang, Yang. 2008. “Social Inequalities in Happiness in the United States, 1972 to 2004: An Age-Period-Cohort Analysis.” American Sociological Review 73(2):204–26.
Yang, Yang and Kenneth C. Land. 2008. “Age–Period–Cohort Analysis of Repeated Cross-Section Surveys: Fixed or Random Effects?” Sociological Methods & Research 36(3):297–326.
Yang, Yang, Sam Schulhofer‐Wohl, Wenjiang J. Fu, and Kenneth C. Land. 2008. “The Intrinsic Estimator for Age‐Period‐Cohort Analysis: What It Is and How to Use It.” American Journal of Sociology 113(6):1697–1736.
Winship, Christopher and David J. Harding. 2008. “A Mechanism-Based Approach to the Identification of Age–Period–Cohort Models.” Sociological Methods & Research36(3):362–401.


人口学における質的調査&非伝統的なデータ

必読というほどではないのでこのリストには入れていないが、質的調査を用いた人口学研究は結構たくさんあり、かなり興味深い研究をたくさんうんでいると思う。基本的には社会/文化人類学と人口学の接点となり、人類学者が活躍しているが、この分野で質的な調査を行う社会学者もいる(例えばミシガンのMargaret Fryeの研究はどれもとても面白いと思う)。Anthropological Demography(人類人口学?人口人類学?)という分野も存在し、Kertzer (2019)が詳しい(今学期はKertzer教授のAnthropological Demographyのセミナーを受けていた)。ちなみにこのリスト全体に複数回登場するJohn Caldwellも人類学者である。さらに人類学者と社会人口学者がタグを組んだ一番の有名なプロジェクトしてMexican Migration Project(MMP)があげられると思う。このプロジェクトについてはMassey (1987)とMassey and Zentaro (2000)と共に、国際移民セクションのMasseyやGarlipの論文も読んで欲しい。



Cesare, Nina, Hedwig Lee, Tyler McCormick, Emma Spiro, and Emilio Zagheni. 2018. “Promises and Pitfalls of Using Digital Traces for Demographic Research.” Demography55(5):1979–99.
Coast, Ernestina. 2003. “An Evaluation of Demographers’ Use of Ethnographies.” Population Studies57(3):337–46.
Couper, Mick P. 2017. “New Developments in Survey Data Collection.” Annual Review of Sociology43(1):121–45.
Heckathorn, Douglas D. and Christopher J. Cameron. 2017. “Network Sampling: From Snowball and Multiplicity to Respondent-Driven Sampling.” Annual Review of Sociology43(1):101–19.
Kertzer, David I. 2019. “23 Anthropological Demography.” Pp. 619–41 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston. Cham: Springer International Publishing.
Massey, Douglas S. 1987. “The Ethnosurvey in Theory and Practice.” International Migration Review 21(4):1498–1522.
Massey, Douglas S. and René Zenteno. 2000. “A Validation of the Ethnosurvey: The Case of Mexico-U.S. Migration.” International Migration Review34(3):766–93.
Randall, Sara, Ernestina Coast, Natacha Compaore, and Philippe Antoine. 2013. “The Power of the Interviewer: A Qualitative Perspective on African Survey Data Collection.” Demographic Research28:763–92.
Randall, Sara and Todd Koppenhaver. 2004. “Qualitative Data in Demography: The Sound of Silence and Other Problems.” Demographic Research11:57–94.

国勢調査
Coleman, David. 2012. “The Twilight of the Census.” Population and Development Review38:334–51. 
Hirschman, Charles, Richard Alba, and Reynolds Farley. 2000. “The Meaning and Measurement of Race in the U.S. Census: Glimpses into the Future.” Demography37(3):381.
Kukutai, Tahu, Victor Thompson, and Rachael McMillan. 2015. “Whither the Census? Continuity and Change in Census Methodologies Worldwide, 1985–2014.” Journal of Population Research32(1):3–22.
Ruggles, Steven and Susan Brower. 2003. “Measurement of Household and Family Composition in the United States, 1850–2000.” Population and Development Review 29(1):73–101.
Snipp, C. Matthew. 2003. “Racial Measurement in the American Census: Past Practices and Implications for the Future.” Annual Review of Sociology 29(1):563–88.


10.  批判的人口学


プレリム試験の準備のために先生に個別指導をしていただいたのだが、その際、「人口学自体を批判的に捉える論文も読みたい」とリクエストしたところ、先生に「そういう研究も大事だが、それは『社会人口学』ではなくて、『知識社会学』なので試験範囲ではない」と言われてしまった。ただ、その後に丁寧にメールで参照すべき文献を複数教えてくださった。Hirschman (2004)は僕のセレクションで、Raceというカテゴリーを社会人口学で使うべきではない(全てethnicityで代替するべき)というアメリカの社会人口学者としてはかなり珍しい主張をしている。本人は有名な国際移民の大御所。なおGreenhalgh(1996)によるとConcered Demographers という人口学を批判的に捉えるジャーナルが院生を中心にウィスコンシン大で作られていた時代があるらしい(Duncan等の当時の年配人口学者に批判されて後に廃刊)のだが、この初代エディターは若き日のHirschmanとのことだった。

Greenhalgh, Susan. 1996. “The Social Construction of Population Science: An Intellectual, Institutional, and Political History of Twentieth-Century Demography.” Comparative Studies in Society and History38(1):26–66.
Greenhalgh, Susan. 1997. “Methods and Meanings: Reflections on Disciplinary Difference.” Population and Development Review23(4):819.
Hirschman, Charles. 2004. “The Origins and Demise of the Concept of Race.” Population and Development Review30(3):385–415.
Hodgson, Dennis. 1991. “The Ideological Origins of the Population Association of America.” Population and Development Review17(1):1.
Szreter, Simon. 1993. “The Idea of Demographic Transition and the Study of Fertility Change: A Critical Intellectual History.” Population and Development Review19(4):659.


11. 文献リスト


ブラウンのは非公開だが、その他の大学の社会学研究科博士課程のプレリム/コンプ試験のリストを公開しているところがあるのでここに載せておく。

メリーランド大学社会学研究科博士課程の人口学試験のリスト
カリフォルニア大学アーバイン校博士課程の人口学試験のリスト


(注1)  なお、リストの作成に当たってはブラウンの試験のための必読リスト、これまでの社会人口学系のコースのシラバスや個別指導の際に渡された文献リスト、UCIrvineのリスト、私が2年間こちらで研究・勉強する中で見つけた重要文献を参考にしている。試験に対応するために私の関心がある分野の論文たくさん入れたり、関心のない分野を少なくしたりしているので、バランスの良いリストを見たい方は多分UCアーバインのリストをみるのがいいと思う(ブラウンのは非公開)し、他の大学も同じようなリストをあげているところが多い。

2019年6月4日火曜日

オルデン・スピア・ジュニア記念賞受賞

先月の近況報告でも書いたが、オルデン・スピア・ジュニア記念賞(Alden Speare Jr. Award)をいただいた。説明によると、毎年度、社会学研究科の最優秀の修論に故オルデン・スピア・ジュニア教授(元ブラウン社会学部長/人口センター所長)を記念して贈られるものらしい。もちろん、ブラウンの社会学研究科は小さな組織で、博士課程の同期入学15人のうち修論を出した13人(注1)の中で選ばれた1/13。よって、100人以上の中から選ばれる東大の研究科長賞みたいにすごいものではない。とはいっても、この賞をいただけたことはとても嬉しかった。

折角なので、オルデン・スピア・ジュニア教授について調べてみた。ソースはオンラインで、この記念サイトASAの訃報。1940年にコネチカット州で生まれ、コーネル(学部)とミシガン(大学院)で原子物理学を専攻していたが、政治的な理由から原子力研究に疑問を持ち、社会学に専攻を切り替え、ミシガンで社会学博士号をとったとのことだった。1969年からブラウンのAPとなり、その後、教授となった。教育/研究キャリアは生涯ブラウンだったらしい。社会学部長や人口学研究センター所長などもつとめ、1994年1月に北京への出張の途中に東京で亡くなったとのこと。この時代に既に現役でブラウンで教えていた私の副指導教員によると、「体調を崩して飛行機が東京に緊急着陸した」とのことである。なお、母親はとても有名な絵本作家のエリザベス・ジョージ・スピアで、日本語にもいくつか著書が訳されているとのことだった。

Google Scholarで調べた限りではアメリカ国内におけるresidential mobilityとageingに関する研究群が最も有名なようだが、国際移動や、台湾やインドネシアの人口移動の研究も積極的にしていたらしい。基本はDemographyPopulation StudiesJournal of Gerontologyを中心に論文を載せていたようだ。この時代の論文はインデックス化されていないのも多いことを考えると、1993年までの業績でこんなに引用数をたくさん稼いでいるのはなかなかすごいと思う。

賞には250ドルの小切手がついていた。日本に帰ったら2年間の記念に回らない寿司にでも行こうと思う。


注1)私も含め、同期15人のうち12人は別の大学院で既に修士号をとっているが、ブラウン社会学部の基本的な方針は博士課程中に修士論文をもう一度書いて、修士号をとらせる、というもの。よって、かなり特殊な場合にのみ修論免除が認められ、今年は2人免除された。