2019年8月27日火曜日

ロードアイランド州はほぼ「島」ではない

現在、全米で最小面積のロードアイランド州の州都プロビデンスに住んでいる。かなりマイナーな州で、アメリカ憲法や宗教史の研究者でない限り、ロードアイランドを知らなくても当然である。知らなくて当然なものの、「ロードアイランドに住んでいる」と言うと、「島に住んでいる」という誤解をよくされるようになり、少し気になったので、ここでその誤解を正しておきたい。

実は、ロードアイランド州の正式名称はロードアイランド州 (State of Rhode Island) ではなく、ロードアイランド州及びプロビデンス植民地* (State of Rhode Island and Providence Plantations)である。これは、もともとの英国から独立前には、ロード島(現在はアクィドネック島と呼ばれている)とプロビデンスにあった植民地が Colony of Rhode Island and Providence Plantationsとして英国王に認可される形で始まったことに背景がある。下の地図は現在のロードアイランド州である。州の大部分は大陸に属しており、なおかつ、州都のプロビデンスはロード島にはない。ただ、「ロードアイランド州及びプロビデンス植民地」と呼ぶのはあまりにも長いので、略して「ロードアイランド州」と呼ばれているということなのである。

ロードアイランドの地図
出典:フリー地図を筆者が加工


日本に無理やり例えると兵庫県が「淡路島と神戸植民地」として始まり、後に名前が長くてめんどくさいので「淡路島県」になったようなものだ。そして、そういう世界で、神戸に住んでいる人が「島には住んでない!」と言ってブログを書いているのを想像していただきたい。もちろん、例えが無理やりすぎるかもしれないが、実際にプロビデンスからロード島へは橋で繋がっており簡単に行ける(ブラウンの学生証あれば無料でバスで1時間で行ける)し、淡路島と神戸の関係に似ている気がする。

最後に、もう一つよくある間違えを正しておきたい。私の住んでいるのはプロビンス(Province)ではなく、プロビデンス(Providence)である。前者は英語ではカナダの州などに使われる行政区分を意味する単語であり、後者は神の導きや摂理という意味があって、全然違う。プロビデンスと名付けられた理由は、プロビデンス植民地の創設者のロジャー・ウィリアムズ牧師の興味深い歴史に関係しており、最終的には米国の政教分離や信教の自由とも関わっくるのだが、ロジャー・ウィリアムズについてはもう少し本格的に勉強してからまた書きたい。


*Plantationsは大農場を指す「プランテーション」と訳す場合もあるが、この文脈では「植民地」が適切であろうと思う。

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