2019年8月23日金曜日

渡米2周年記念

昨日が渡米二周年だった。羽田空港で飛行機に搭乗したのが2017年8月21日夕方、ロサンゼルス経由でプロビデンスに降り立ったのが東部時間の8月21日午後11時ごろ、今住んでいるカレッジヒルの自宅に到着したのが日が回って22日の午前1時前後。米で使える携帯番号をまだ持っていなかったので、タクシーに乗ってしまい、uberで15-20ドルの道のりで50ドルを請求された(が、何の疑いもなく支払った)のは今となっては良い思い出である。

二周年を機にこれまでを少し振り返りたい。ここ二年間の間に16科目分のコースワークが終わり、プレリム試験も1/2つ終わり、TAになるための模擬授業にもパスした。

留学して良かったか?研究者になることが現時点でのキャリア的な目標だと考えると、二つの点でとても良かったと考えている。一点目は知識・技術面である。残念ながら?、東大とブラウンでの学びを比べると、量・質ともにブラウンの方が上である。感覚的には東大の三年分がブラウンの一年分くらいである。「勉強ばかりするな」という批判はあるのだろうが、コースワークやプレリム試験準備で論文を多読して自分の専門のサブフィールドの先行研究の蓄積の体系的な理解を得ることや、計量分析や質的分析の手法に関してより正確な知識を得ることは、とても有益だった。もちろん、独学でできることを私の怠慢でやっていなかったという見方もできるが、アメリカにきて強制的に身に付く環境に身をおいたことは正解だったと考えている。

次に研究に関してだが、これもアメリカに来たことが正解だった。私はアメリカと西ヨーロッパにおける国際移民の社会統合に関心があって、修士時代はアメリカとヨーロッパの社会学の先行研究に自分の研究を位置付けようとしていたが、あまりうまくいかなかった。アメリカ及び西ヨーロッパの移民研究はアメリカ、オランダ、ドイツ、スウェーデン、イギリスにある30程度の大学/研究機関が中心となっており、そのネットワークの中にいる人たちから離れたところで欧米の研究者に相手にされるような研究をなすのは、少なくとも院生レベルでは、なかなか難しいことだと思う。もちろん類い稀な才能によってこれができる人もいるのだが、私には無理だった。東大の研究環境が悪かったというわけではなく、私の自分の能力に関する認識とテーマ設定の甘さにあったと思う。今から考えると、日本にいる間は日本への移民受け入れをテーマに設定しておくべきだった(ただ、日本に設定していたら海外留学しようと思っていなかったと思うので、日本の研究をしていなくて良かったのかもしれない)。なお、現時点で素晴らしい研究ができるいるわけではないのだが、少なくともアメリカの移民研究の中心ネットワーク(アメリカでの移民研究はUCLA、UCアーバイン、UCバークレー、ペンステート、コーネル、ブラウン、プリンストン、CUNYになるだろう)の中にいて、最先端の研究をしている人たちにすぐにコメントをもらいにいける状態に自分を置くことはできている。さらにはアメリカの移民研究の中でなされている研究テーマ群、有力研究者、大学/研究機関の相互関係が見えてくるようになって、「移民研究」にどこまで自分の研究を依拠するかについても考えが固まってきた(いつかこれについては別に書きたい)。

精神や身体の健康面でいうと、留学して本当に良かったかはまだわからない。今年に入ってから消化器系の調子を崩してアメリカ&日本で何度か精密検査を受け、先月ようやく原因がわかったことはすでにブログに書いたが、留学して色んな経験をして打たれ強くなった側面もあるのと共に、ダメージが蓄積して打たれやすくなった側面もある気がする。また、親しい友人や恋人との間に大陸と大洋があることで、辛いことや不都合なこともたくさんあった。長い目で見て絶対に良かったと思う点は、弱い人に対する共感力が格段に高まったことだ。演習での発言や研究発表で「アメリカのことを知らない奴」扱いされること(話を最後まで聞かずにそう判断されるととても悔しいし、米アクセントで肌がより白かったら話を聞いてくれたんじゃないか!?と思ってしまうことがある)、TAとして学生を外国語で教えなければならないこと、外国ですこぶる体調が悪くなること、などなど異国で現地の学生と対等に生き残ろうとする中で苦しいことはたくさんある。様々な場面で弱い立場におかれる中で、今まで頭では理解していても、身体では経験していなかった弱さを経験できたのは今後生きていく中でプラスになると思う。

また、こちらで新しい友人たちとの出会いを与えられていることも留学して良かったことだ。ブラウン社会学部は毎年8名前後しか入学させないのだが、僕の入学年だけ15人いたことで、留学生も多く、かなり仲がよくなることができた。また、一昨年の10月にニューハンプシャー州の森の中でのリトリートに参加した時にたまたま知り合った僕より一つ若い中国人の友人(計算機科学専攻)とは馬が合い、以降、毎週食事を一緒にしている。

最後に、信仰について。アメリカ行きが決定してから覚悟はしていたのだが、アメリカのキリスト教会には馴染めずにいる。近くの教会の礼拝には毎週出席しているが、なぜか自分が浮いている(皆と一致できていない)気がする。こう感じるのは自分の所属している教会の中だけではなく、オンライン等でアメリカのキリスト教会を代表するリーダーたちの書いたものを読んで覚える強い違和感も背景にある。もちろん、アメリカにも尊敬するクリスチャンはおり、多種多様なアメリカのキリスト教をこんなにざっくりくくって批判するのは稚拙であろうが、いわゆる「主流派」キリスト教に対しても、「福音派」キリスト教に対しても違和感を覚えてしまう。昨日まで朝の読書の時間を使って内村鑑三の自伝『余はいかにして基督信徒となりし乎』を再読していたのだが、内村が留学先のアメリカの「正統派」キリスト教を批判するところを読んで共感してしまった。おそらく自分の内面とも関係があるように思うので、また自分との対話が進んだら考えを書きたい。

ブラウンの社会学部では三年生最終学期までコースワークをとらなければならないので、Ph.D.取得までにはあとコースワーク一年分、プレリム試験一つ、博論計画書ディフェンス、実際の博論提出が残っている。あと四年くらいだと思うが、与えられている環境を大切にして、与えられた燃料分は丁寧に走りきるようにしたい。


最近は毎朝ゆっくり家のテラスで朝ごはんを食べ、読書をしている。
フレンチトースト&ミニトマト&ブルーベリーが定番メニューとして確立された。


2019年7月24日水曜日

一時帰国:高山と金沢と京都

一時帰国中である。最初の一週間は東京で過ごして諸々の仕事を済ませた後、事情があって岐阜県の高山市に3泊していた。自分にとってこれまで岐阜県は「通過」することはあっても「滞在」することはない場所だったのだが、予想以上に面白い場所で、また近いうちに今度は観光で行ってみたい。

高山市の中心部は昔ながらの街並みがきちんと残っており、さらには銀座や原宿にありそうなお洒落なカフェが立ち並んでいた。観光客は中国とヨーロッパ(特にスペインとフランス)からの観光客が驚くほど多く、平日の朝は日本語よりもスペイン語やフランス語や中国語の方が優勢だった。

高山市内
足を伸ばして白川郷へも行ってみたが、予想していた通りにかなり綺麗な場所だった。

白川郷

飛騨高山のレストランの食事はどれも驚くほど美味しく、特に最高クラスの飛騨牛をほうば味噌と一緒に食べる定食は最高だった。高山らーめんもシンプルで美味しかった。個人的には実家のある京都よりもおすすめできる観光場所である。

飛騨牛とほうば味噌定食

高山らーめん甚五郎

飛騨牛寿司


高山を去った後、霞ヶ関の某省キャリアの友人と金沢に旅行に行ってきた。1日目と2日目午前は金沢で金沢城、兼六園、21世美術館、和辻哲郎館を見学し、2日目午後からは和倉温泉に移動して海の前の温泉旅館で特に何もせずに過ごした。ゆっくりできた3日間だったと思う。

能登温泉の旅館「海望」からの景色


現在は実家のある京都市に戻って、今年の3月からの消化器不調の原因を調べている。1日目はアメリカでもやったエコー検査(腎臓、膵臓、肝臓)と血液検査、2日目は胃カメラによる食道と胃の検査で、現在は(念の為)胃の粘膜の組織検査の結果待ちである。幸いなことに胃カメラ検査で不調の原因がかなりはっきりわかり、詳しくはここでは述べないが、処方薬を一定期間(1−2ヶ月?)飲み続けることで対処可能という診断だった。3月は修論や学会で忙しい中、2週間ほどきちんとものが食べれずヨーグルトを飲んで過ごし、回復してからも1週間に2−3日は胃部の不快感に悩まされ、不定期に吐き気を催すという結構苦しい半年間だったが、なんとかなりそうな気がしてきた。

最後に近況報告。社会人口学のプレリム試験に無事に合格した。もう一つを来年の1月か6月に受験しなければならない。まだ社会階層論分野にするか国際移民・人種・エスニシティ分野にするかで迷い中だが、社会階層論でいく方が自分のためになり、かつ「事故」(=不合格)が起こる確率も低い気がしている。先生との共著論文も3回のR&Rの末にアクセプトされた。修正をしすぎていてまだ修論の方は投稿できていないが、早いうちにとりあえず最初の投稿をしてしまいたい。

日本に戻っていて完全に止まってしまっていたが、そろそろ研究に戻ろうと思う。

2019年6月13日木曜日

社会人口学文献リスト

社会人口学のプレリム試験の準備にあたり、学部からもらったリストがかなりoutdatedなので、勉強のために自分でも最低限の必読リストを作ることにした(注1)。と同時に、関心のある方の参考にもなれば良いと思って、少し解説も入れたりした。試験のために、このリストの論文はほぼ全部読んだ上で、文献情報だけを見て重要ポイントが頭に浮かんでくるようにしている(文献メモ作成)。なお、このリストは自分の試験目的であって、より代表性のあるリストが必要な方は別のリスト(この投稿の最後参照)を当たった方がいいかもしれない。また試験の性格上、歴史人口学の文献はほぼ入っていない。

以下、各セクションは独断と偏見と都合(僕が論文を覚えやすくする分け方、かつ過去問に答えやすい分類)により分類してあるが、それぞれ繋がっていて明確に分けるのは難しい。★は個人的におすすめな論文(おすすめな理由は様々)。


1. イントロ

Harper (2018)と河野(2007)は社会人口学を簡単につかむのに良い。河野先生は1950年代にブラウンで社会学のPhDを取得されている大先輩。人口学ハンドブックの改定後のBrown (2019)と改定前のHirschman and Tolnay (2005)は良い意味で被っていない。社会人口学の歴史を知りたい方は後者から読むべし。Preston et al. (2001)とRowland (2003)はメソッドの辞書のように用いると良いと思う。次の2. 人口転換論と出生セクションのDyson(2013)も社会人口学の核とも言える人口転換論を理解するためにおすすめである。なお、人口学を批判的に考える文献を求めている方は一気に飛ばして最後の批判的人口学の文献にあたってみていただきたい。

社会人口学分野の主要ジャーナル
社会人口学の代表ジャーナルはDemographyPopulation and Development Reviewで「二大誌」、ないしはPopulation Studiesも入れて「三大誌」とされるらしい(某先生談)。ちなみにブラウンのリストはほぼ全てが二大誌からだが、Population Studiesも目を通すようにという「注意書き」が存在する(昔はPopulation Studiesは今よりはるかに威信が高かった、とのこと)。またDemographic ResearchEuropean Journal of PopulationPopulation Research and Policy Reviewなどの有力ジャーナルにもかなり影響力の高い重要論文が載る (最近の印象では特にDemographic Research)。この他にJournal of Gerontology: Social SciencesStudies in Family PlanningInternational Migration Review、Population and Environment のような人口学の特定のテーマに関するジャーナルや、Journal of Population Economicsのような経済人口学のジャーナル、American Journal of SociologyAmerican Sociological ReviewSocial ForcesJournal of Marriage and Familyのような社会学のジャーナル、American Economic Review、 The Quarterly Journal of Economicsのような経済学のジャーナルも広く社会人口学と関わる重要論文を載せている可能性がある。


人口学入門
Harper, Sarah. 2018. Demography: A Very Short Introduction. Vol. 565. Oxford University Press.
★河野稠果. 2007. 人口学への招待少子・高齢化はどこまで解明されたか中央公論新社.

社会人口学の全体像
Brown, David L. 2019. “18 Social Demography, Space and Place.” Pp. 483–97 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston. Cham: Springer International Publishing.
Hirschman, Charles and Stewart E. Tolnay. 2005. “Social Demography.” Pp. 419–449 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston and M. Micklin. New Yrok: Kluwer Academic/Plenum Publishers.

2. 人口転換論と出生


人口転換論だけで一つのセクションを作るか迷ったが、出生とまとめた。なお、第二人口転換論関係の重要論文の一部(e.g., EspinAndersen et al. 2015やGoldscheider et al. 2015)は家族とジェンダーセクションにある。どれか一つだけ選ぶとしたらDyson(2013)を読むことがおすすめ。


Bongaarts,John. 1978. “A Framework for Analyzing the Proximate Determinants of Fertility.”Population and Development Review4(1):105.
Bongaarts, John and Griffith Feeney. 1998. “On the Quantum and Tempo of Fertility.” Population and Development Review24(2):271.
Bongaarts,John and Susan Cotts Watkins. 1996.“Social Interactions and Contemporary Fertility Transitions.”Population and Development Review22(4):639.
Bryant,John. 2007. “Theories of Fertility Decline and the Evidence from Development Indicators.”Population and Development Review33(1):101–27.
Caldwell,John C. 1976. “Toward A Restatement of Demographic Transition Theory.”Population and Development Review2(3/4):321.
Caldwell,John C. 2005. “On Net Intergenerational Wealth Flows: An Update.”Population and Development Review31(4):721–40.
Cleland, John and Christopher Wilson. 1987. “Demand Theories of the Fertility Transition: An Iconoclastic View.” Population Studies 41(1):5–30.
Coale,Ansley J. and Susan Cotts Watkins,eds. 1986. The Decline of Fertility in Europe. Princeton University Press.
Coleman,David. 2006. “Immigration and Ethnic Change in Low-Fertility Countries: A Third Demographic Transition.”Population and Development Review32(3):401–46.
Davis,Kingsley. 1963.“The Theory of Change and Response in Modern Demographic History.”Population Index29(4):345.
Dyson,Tim. 2013. Population and Development: The Demographic Transition. Zed Books Ltd.
Goldstein,Joshua,Wolfgang Lutz,and Maria Rita Testa. 2003. “The Emergence of Sub-Replacement Family Size Ideals in Europe.”Population Research and Policy Review22(5/6):479–96.
Goldstein, Joshua R., Tomáš Sobotka, and Aiva Jasilioniene. 2009. “The End of ‘Lowest‐Low’ Fertility?” Population and Development Review 35(4):663–699.
Kravdal, Øystein and Ronald R. Rindfuss. 2008. “Changing Relationships between Education and Fertility: A Study of Women and Men Born 1940 to 1964.” American Sociological Review73(5):854–73.
Lesthaeghe,Ron. 2010. “The Unfolding Story of the Second Demographic Transition.”Population and Development Review36(2):211–51.
Mason, Karen Oppenheim. 1997. “Explaining Fertility Transitions.” Demography34(4):443.
Morgan,S. Philip. 2003. “Is Low Fertility a Twenty-First-Century Demographic Crisis?”Demography40(4):15.
Sobotka,Tomáš. 2004. “Is Lowest-Low Fertility in Europe Explained by the Postponement of Childbearing?”Population and Development Review30(2):195–220.
Watkins,Susan Cotts. 1990.“From Local to National Communities: The Transformation of Demographic Regimes in Western Europe,1870-1960.”Population and Development Review16(2):241.
Zaidi,Batool and S. Philip Morgan. 2017. “The Second Demographic Transition Theory: A Review and Appraisal.”Annual Review of Sociology43(1):473–92.


3. 家族・教育と社会人口学

社会学には家族社会学と教育社会学いう巨大なサブフィールドがあり、そちらと一緒に勉強すると効率が良いのかもしれない。家族・結婚、ジェンダー、教育・再生産の3つのセクションに分けてみた。

家族・結婚
Cherlin, Andrew J. 2005. “American Marriage in the Early Twenty-First Century.” The Future of Children 15(2):33–55.
Hajnal, John. 1982. “Two Kinds of Preindustrial Household Formation System.” Population and Development Review 8(3):449–94.
Haskins, Ron and Isabel V. Sawhill. 2016. “The Decline of the American Family: Can Anything Be Done to Stop the Damage?” edited by L. M. Bartels. The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science 667(1):8–34.
Kalmijn, Matthijs. 2013. “The Educational Gradient in Marriage: A Comparison of 25 European Countries.” Demography 50(4):1499–1520.
Kennedy, Sheela and Steven Ruggles. 2014. “Breaking Up Is Hard to Count: The Rise of Divorce in the United States, 1980–2010.” Demography51(2):587–98.
Ruggles, Steven. 2007. “The Decline of Intergenerational Coresidence in the United States, 1850 to 2000.” American Sociological Review 72(6):964–89.
Ruggles, Steven. 2015. “Patriarchy, Power, and Pay: The Transformation of American Families, 1800–2015.” Demography52(6):1797–1823.
Seltzer, Judith A. 2019. “Family Change and Changing Family Demography.” Demography 56(2):405–26.
Sweeney, Megan M. 2002. “Two Decades of Family Change: The Shifting Economic Foundations of Marriage.” American Sociological Review 67(1):132.
Qian, Zhenchao and Daniel T. Lichter. 2007. “Social Boundaries and Marital Assimilation: Interpreting Trends in Racial and Ethnic Intermarriage.” American Sociological Review 72(1):68–94.

ジェンダー
Cherlin (2016)Esping-Andersen (2015)Goldscheider (2015)への応答をしている。Esping-Andersen (2015)Goldscheider et al. (2015)Lesthaeghe (2010)とともに近年のPDR論文の中で最も引用を稼いでいる高インパクト論文である。

Cherlin, Andrew J. 2016. “A Happy Ending to a Half-Century of Family Change?” Population and Development Review 42(1):121–29.(なお、この論文はEspin-AndersenとGoldscheiderへの応答)
England, Paula. 2010. “The Gender Revolution: Uneven and Stalled.” Gender & Society 24(2):149–66.
Esping-Andersen, Gøsta and Francesco C. Billari. 2015. “Re-Theorizing Family Demographics.” Population and Development Review41(1):1–31.
Goldscheider, Frances, Eva Bernhardt, and Trude Lappegård. 2015. “The Gender Revolution: A Framework for Understanding Changing Family and Demographic Behavior.” Population and Development Review 41(2):207–39.
McDonald, Peter. 2000. “Gender Equity in Theories of Fertility Transition.” Population and Development Review 26(3):427–439.
Short, Susan E., Frances K. Goldscheider, and Berna M. Torr. 2006. “Less Help for Mother: The Decline in Coresidential Female Support for the Mothers of Young Children, 1880-2000.” Demography 43(4):617–29.

再生産・教育
修士時代は教育社会学を専攻するところにいたので、社会人口学的枠組みを教育社会学に本格的に取り入れるとどうなるのか考えることがあるのだが、その際にLam and Marteleto (2013)はとても参考になると思う。Reardonは世界の教育学者の中では一番人口学コミュニティで有名なのではないだろうか。Segregation研究でも有名なのだが、Whither Opportunityという結構有名な本に収められているこの(少しふわっとした)学力格差の論文(解説)が特に有名。先日ブラウンの人口学センターで講演をされた時に話す機会があり、どのディシプリンにアイデンティティを一番感じるのか聞いて見たら「教育経済学者と時々間違えられるが自分は教育社会学者」と言っていた(本人は教育学PhD)。今後スタンフォードのSEDAのデータからたくさん論文がでると思うので楽しみである。

Fomby, Paula and Andrew J. Cherlin. 2007. Family Instability and Child Well-Being. American Sociological Review 72(2):181204.
Kornrich, Sabino and Frank Furstenberg. 2013. Investing in Children: Changes in Parental Spending on Children, 19722007. Demography 50(1):123.
Lam, David and Letícia Marteleto. 2008. Stages of the Demographic Transition from a Childs Perspective: Family Size, Cohort Size, and Childrens Resources. Population and Development Review 34(2):22552.
Mare, Robert D. 2011. A Multigenerational View of Inequality. Demography 48(1):123.
McLanahan, Sara. 2004. Diverging Destinies: How Children Are Faring under the Second Demographic Transition. Demography 41(4):607627.
Reardon, Sean F. 2011. The Widening Academic Achievement Gap between the Rich and the Poor: New Evidence and Possible Explanations. Whither Opportunity 91116.

4. 健康と死亡

 この分野は日本で社会学を専攻した経験のある自分には馴染みが一番薄かったのだが、人口転換論の主力説では死亡率の低下が出生率の低下、都市化、高齢化、等々の全ての遠因であると考えられており、極めて重要。また、こちらの社会学者・人口学者・経済学者が健康を研究しまくっているもう一つの原因は有力な資金源がアメリカ国立衛生研究所(NIH)なことも背景にありそう。

健康と格差(幼少期の健康状態の影響中心)
Blackwell, Debra L., Mark D. Hayward, and Eileen M. Crimmins. 2001. “Does Childhood Health Affect Chronic Morbidity in Later Life?” Social Science & Medicine52(8):1269–84.
Eileen M. Crimmins, Mark D. Hayward, Aaron Hagedorn, Yasuhiko Saito, and Nicolas Brouard. 2009. “Change in Disability-Free Life Expectancy for Americans 70 Years Old and Older.” Demography46(3):627–46.
Elo, Irma T. 2009. “Social Class Differentials in Health and Mortality: Patterns and Explanations in Comparative Perspective.” Annual Review of Sociology35(1):553–72.
Finch, C. E. 2004. “Inflammatory Exposure and Historical Changes in Human Life-Spans.”Science305(5691):1736–39.
Jackson, M. I. 2010. “A Life Course Perspective on Child Health, Cognition and Occupational Skill Qualifications in Adulthood: Evidence from a British Cohort.” Social Forces89(1):89–116.
Hayward, Mark D. and Bridget K. Gorman. 2004. “The Long Arm of Childhood: The Influence of Early-Life Social Conditions on Men’s Mortality.” Demography41(1):87–107.
Palloni, Alberto. 2006. “Reproducing Inequalities: Luck, Wallets, and the Enduring Effects of Childhood Health.” Demography43(4):587–615.
Smith, James P. 2004. “Unraveling the SES Health Connection.” Population and Development Review.
Yang, Y. and L. C. Lee. 2009. “Sex and Race Disparities in Health: Cohort Variations in Life Course Patterns.” Social Forces87(4):2093–2124.

死亡率
Caldwell, John C. 1986. “Routes to Low Mortality in Poor Countries.” Population and Development Review12(2):171.
Cutler, David and Grant Miller. 2005. “The Role of Public Health Improvements in Health Advances: The Twentieth-Century United States.” Demography42(1):1–22.
Garenne, Michel. 2006. “Health Transitions in Sub-Saharan Africa: Overview of Mortality Trends in Children under 5 Years Old (1950-2000).” Bulletin of the World Health Organization84(6):470–78.
McKeown, Thomas and R. G. Record. 1962. “Reasons for the Decline of Mortality in England and Wales during the Nineteenth Century.” Population Studies16(2):94–122.
Preston, Samuel H. 1975. “The Changing Relation between Mortality and Level of Economic Development.” Population Studies29(2):231.
Kuhn, Randall. 2010. “Routes to Low Mortality in Poor Countries Revisited.” Population and Development Review36(4):655–92.
Lutz, Wolfgang and Endale Kebede. 2018. “Education and Health: Redrawing the Preston Curve: Education and Health.” Population and Development Review44(2):343–61.
Soares, Rodrigo R. 2005. “Mortality Reductions, Educational Attainment, and Fertility Choice.” American Economic Review95(3):580–601.
Soares, Rodrigo R. 2007. “On the Determinants of Mortality Reductions in the Developing World.” Population and Development Review33(2):247–287.

HIV/AIDS
Bongaarts, John, Thomas Buettner, Gerhard Heilig, and François Pelletier. 2008. “Has the HIV Epidemic Peaked?” Population and Development Review34(2):199–224.
Heuveline, Patrick. 2014. “Impact of the HIV Epidemic on Population and Household Structure: The Dynamics and Evidence to Date.” AIDS18(2):45–53.

5. 高齢化


この分野はGerontologyという別の学問としてかなり独立しているのだが、社会人口学の一部と考えられなくもない気がする。僕が読んだものは少なめ。Preston (1984)は会長講演で日本の現状にとてもrelevantな気がする。VaupelはScienceNatureに何本も載せているのでそちらを読んだ方がいいもしれないが、このVaupel (2004)は彼のライフストーリーが研究と絡む形で出てきて面白いのでおすすめ。


Bongaarts, John. 2006. “How Long Will We Live?” Population and Development Review605–628.
Crimmins, Eileen M., Mark D. Hayward, Aaron Hagedorn, Yasuhiko Saito, and Nicolas Brouard. 2009. “Change in Disability-Free Life Expectancy for Americans 70 Years Old and Older.” Demography46(3):627–46.
Preston, Samuel H. 1984. “Children and the Elderly: Divergent Paths for America’s Dependents.” Demography21(4):435–457.
Preston, Samuel H. and Andrew Stokes. 2012. “Sources of Population Aging in More and Less Developed Countries.” Population and Development Review38(2):221–36.
Vaupel, James W. 2004. “The Biodemography of Aging.” Population and Development Review30:48–62.

6. 国際移住


以下、かなりアメリカ中心な独断と偏見に基づいたリスト。国際移住の研究には移動そのものを研究するもの (e.g., Massey and Espinosa 1997)と移住後の同化/統合を研究するもの (e.g., Alba and Nee 1997)に大別できるが、前者の研究が多めになっている。経済学の論文は、メソッドで有名なもの(e.g., Card 1990→DID、Card 2001→Shift Share IV、Munshi 2003→雨IV)をあげておいた。なお、国内移住と国際移住は連続的に考えた方が良いかもしれないが、便宜上分けた。

Abel, Guy J. 2018. “Estimates of Global Bilateral Migration Flows by Gender between 1960 and 2015.” International Migration Review 809–52.
Alba, Richard and Victor Nee. 1997. “Rethinking Assimilation Theory for a New Era of Immigration.” The International Migration Review 31(4):826–74.
Bean, Frank D., Susan K. Brown, and James D. Bachmeier. 2015. Parents Without Papers: The Progress and Pitfalls of Mexican American Integration. Russell Sage Foundation.
Borjas, George J. 1985. “Assimilation, Changes in Cohort Quality, and the Earnings of Immigrants.” Journal of Labor Economics 3(4):463–89.
Card, David. 1990. “The Impact of the Mariel Boatlift on the Miami Labor Market.” Industrial and Labor Relations Review 43(2):245–57.
Card, David. 2001. “Immigrant Inflows, Native Outflows, and the Local Labor Market Impacts of Higher Immigration.” Journal of Labor Economics 19(1):43.
Curran, Sara R. and Estela Rivero-Fuentes. 2003. “Engendering Migrant Networks: The Case of Mexican Migration.” 40(2):19.
Czaika, Mathias, Hein de Haas, and María Villares-Varela. 2018. “The Global Evolution of Travel Visa Regimes: The Global Evolution of Travel Visa Regimes.” Population and Development Review 44(3):589–622.
Feliciano, Cynthia. 2005. “Educational Selectivity in U.S. Immigration: How Do Immigrants Compare to Those Left Behind?” Demography42(1):131–52.
Feliciano, Cynthia and Yader R. Lanuza. 2017. “An Immigrant Paradox? Contextual Attainment and Intergenerational Educational Mobility.” American Sociological Review 82(1):211–41.
Fussell, Elizabeth and Douglas S. Massey. 2004. “The Limits to Cumulative Causation: International Migration From Mexican Urban Areas.” Demography41(1):151–71.
Garip, Filiz. 2012. “Discovering Diverse Mechanisms of Migration: The Mexico-US Stream 1970-2000.” Population and Development Review38(3):393–433.
Gordon, Milton Myron. 1964. Assimilation in American Life: The Role of Race, Religion, and National Origins. Oxford University Press.
Hirschman, Charles. 2005. “Immigration and the American Century.” Demography 42(4):595–620.
Massey, Douglas S., Joaquin Arango, Graeme Hugo, Ali Kouaouci, Adela Pellegrino, and J. Edward Taylor. 1993. “Theories of International Migration: A Review and Appraisal.” Population and Development Review 19(3):431.
Massey, Douglas S. and Kristin E. Espinosa. 1997. “What’s Driving Mexico-U.S. Migration? A Theoretical, Empirical, and Policy Analysis.” American Journal of Sociology 102(4):939–99.
Massey, Douglas S., Luin Goldring, and Jorge Durand. 1994. “Continuities in Transnational Migration: An Analysis of Nineteen Mexican Communities.” American Journal of Sociology 99(6):1492–1533.
Massey, Douglas S. and Karen A. Pren. 2012. “Unintended Consequences of US Immigration Policy: Explaining the Post-1965 Surge from Latin America.” Population and Development Review38(1):1–29.
Munshi, K. 2003. “Networks in the Modern Economy: Mexican Migrants in the U. S. Labor Market.” The Quarterly Journal of Economics 118(2):549–99.
Park, Julie and Dowell Myers. 2010. “Intergenerational Mobility in the Post-1965 Immigration Era: Estimates by an Immigrant Generation Cohort Method.”Demography 47(2):369–392.
Portes, Alejandro and Min Zhou. 1993. “The New Second Generation: Segmented Assimilation and Its Variants.” The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science530(1):74–96.
White, Michael J. and Jennifer E. Glick. 2009. Achieving Anew: How New Immigrants Do in American Schools, Jobs, and Neighborhoods. Russell Sage Foundation. 
Zhou, Min. 1997. “Segmented Assimilation: Issues, Controversies, and Recent Research on the New Second Generation.” International Migration Review31(4):975.


7. 都市化と国内移住


  この分野はブラウン社会学部の伝統的な強みなのだが、残念ながら私はかなり弱い。加えて、都市化と国内移住のための別のプレリム試験が存在するようなので、社会人口学の試験ではここが問われる可能性は低いだろうと思ってまだちゃんと勉強できずにいる。なのでこのリストは参考程度にして欲しい。人口転換論と都市化の関係を簡潔に示したDyson (2011)と最新の人口学ハンドブックのWhite and Lindstrom (2019)は参考になる気がする。

Bruch, Elizabeth E. and Robert D. Mare. 2006. “Neighborhood Choice and Neighborhood Change.” American Journal of Sociology112(3):667–709.
Dyson, Tim. 2011. “The Role of the Demographic Transition in the Process of Urbanization.” Population and Development Review37:34–54.
Fussell, Elizabeth, Narayan Sastry, and Mark VanLandingham. 2010. “Race, Socioeconomic Status, and Return Migration to New Orleans after Hurricane Katrina.” Population and Environment31(1–3):20–42.
Garip, Filiz. 2008. “Social Capital and Migration: How Do Similar Resources Lead to Divergent Outcomes?” Demography45(3):591–617.
Gray, Clark and Richard Bilsborrow. 2013. “Environmental Influences on Human Migration in Rural Ecuador.” Demography50(4):1217–41.
Korinek, Kim, Barbara Entwisle, and Aree Jampaklay. 2005. “Through Thick and Thin: Layers of Social Ties and Urban Settlement among Thai Migrants.” American Sociological Review70(5):779–800.
Liang, Zai and Zhongdong Ma. 2004. “China’s Floating Population: New Evidence from the 2000 Census.” Population and Development Review30(3):467–88.
Logan, John R., Brian J. Stults, and Reynolds Farley. 2004. “Segregation of Minorities in the Metropolis: Two Decades of Change.” Demography41(1):1–22.
Luke, Nancy. 2010. “Migrants’ Competing Commitments: Sexual Partners in Urban Africa and Remittances to the Rural Origin.” American Journal of Sociology115(5):1435–79.
Massey, Douglas S. and Nancy A. Denton. 1988. “Suburbanization and Segregation in U.S. Metropolitan Areas.” American Journal of Sociology94(3):592–626.
Quillian, Lincoln. 1999. “Migration Patterns and the Growth of High‐Poverty Neighborhoods, 1970‐‐1990.” American Journal of Sociology105(1):1–37.
Ravallion, Martin, Shaohua Chen, and Prem Sangraula. 2007. “New Evidence on the Urbanization of Global Poverty.” Population and Development Review33(4):667–701.
Sampson, Robert J. and Patrick. Sharkey. 2008. “Neighborhood Selection and the Social Reproduction of Concentrated Racial Inequality.” Demography45(1):1–29.
Stark, Oded and David E. Bloom. 1985. “The New Economics of Labor Migration.” The American Economic Review75(2):173–78.
Tolnay, Stewart E. 1998. “Educational Selection in the Migration of Southern Blacks, 1880–1990.” Social Forces77(2):487–514.
White, Michael J. and David P. Lindstrom. 2019. “15 Internal Migration.” Pp. 383–419 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston. Cham: Springer International Publishing.

8. 人口と開発


このトピックは社会人口学というよりは経済人口学や開発学のトピックだと思う。論文中に"demographic dividend"とか出てきたらだいたいそれ系。かなり苦手意識のあるテーマだが、所属大学が開発経済学/開発社会学に強いためにこういう研究も一応読まされるのかもしれない。かなりざっくりいうと他のセクションの研究は人口学的変数(e.g., 出生、死亡、移住)を従属変数としているが、このセクションの一連の研究はマクロな人口学的な変数(特に人口増加と年齢構造)を独立変数としていると考えるとわかりやすいだろう。マルサスの『人口論』や国際移民セクションのCard(1990)のマイアミのボート難民や、Card (2001)のシフトシェアIVによる移民の労働市場への影響の研究もこのセクションにいれてもいいかもしれない。


Bloom, David and David Canning. 2008. “Global Demographic Change: Dimensions and Economic Significance.” Population and Development Review34:17–51.
Bloom, David E. and Jeffrey G. Williamson. 1998. “Demographic Transitions and Economic Miracles in Emerging Asia.” The World Bank Economic Review12(3):419–55.
Coale, Ansley J. 1978. “Population Growth and Economic Development: The Case of Mexico.” Foreign Affairs56(2):415.
Crespo Cuaresma, Jesús, Wolfgang Lutz, and Warren Sanderson. 2014. “Is the Demographic Dividend an Education Dividend?” Demography51(1):299–315.
Lee, Ronald and Andrew Mason. 2010. “Fertility, Human Capital, and Economic Growth over the Demographic Transition.” European Journal of Population26(2):159–82.
Mason, Andrew and Ronald Lee. 2006. “Reform and Support Systems for the Elderly in Developing Countries: Capturing the Second Demographic Dividend.” Genus62(2):11–35.


9. 人口学と方法論

このセクションはテーマがでかすぎるのだが、基本的な目的は自分の試験にメソッドセクションがあり、それに対応するため。人口学における因果推論についてどう考えるかとか、質的調査をどう取り入れるかを考えさせたりするような問題が多い印象なのでここら辺を読んで勉強している。勝手な都合で5つのセクションに分けた。


人口学の方法(教科書)
Preston, S., Patrick Heuveline, and Michael Guillot. 2000. “Demography: Measuring and Modeling Population Processes. 2001.” Malden, MA: Blackwell Publishers.
Rowland, Donald T. 2003. “Demographic Methods and Concepts.” OUP Catalogue.


人口学と因果推論
Bhrolcháin, Máire Ní and Tim Dyson. 2007. “On Causation in Demography: Issues and Illustrations.” Population and Development Review33(1):1–36.
Duncan, Greg J. 2008. “When to Promote, and When to Avoid, a Population Perspective.” Demography45(4):763–84.
Engelhardt, Henriette, Hans-Peter Kohler, and Alexia Prskawetz, eds. 2009. Causal Analysis in Population Studies: Concepts, Methods, Applications. Dordrecht: Springer.
Moffitt, Robert. 2003. “Causal Analysis in Population Research: An Economist’s Perspective.” Population and Development Review29(3):448–58.
Moffitt, Robert. 2005. “Remarks on the Analysis of Causal Relationships in Population Research.” Demography42(1):91–108.
Smith, Herbert L. 2003. “Some Thoughts on Causation as It Relates to Demography and Population Studies.” Population and Development Review29(3):459–69.
Winship, Christopher and Stephen L. Morgan. 1999. “The Estimation of Causal Effects from Observational Data.” Annual Review of Sociology25(1):659–706.


APCモデル

因果推論は経済学から入ってきたメソッドと言えるだろうが、APCモデル的な考え方は人口学に特有な気がするので、特別に取り上げておく。特にコホートの考え方を洗練させたこと(Ryder 1965)と、その歴史(Elder and George 2016)は重要な気がする。APCはいくつか方法が提唱されているが、自分も細かいことはわかっていない。APCモデルによる分析のイメージを掴みたい方はYang (2008)の幸福感に関するASR論文が一番良いと思う。このテーマでの最近の白熱バトルをみたい方はYang et al. (2008)とLuo (2013)とそれについたたくさんのコメントを読むと面白いと思う。APCモデルはいわゆる統計的因果推論とは縁がなさそうだと思っていたのだが、Winship and Harding (2008)は因果推論セクションのEngelhardt et al.の本にSmithが寄稿した論文(Smith 2009)で取り上げられている。Decompositionも人口学に特有なメソッド(&考え方)だと思うが、勉強不足で対応できていない。


Elder, Glen H. and Linda K. George. 2016. “Age, Cohorts, and the Life Course.” Pp. 59–85 in Handbook of the Life Course, edited by M. J. Shanahan, J. T. Mortimer, and M. Kirkpatrick Johnson. Cham: Springer International Publishing.
Luo, Liying. 2013. “Assessing Validity and Application Scope of the Intrinsic Estimator Approach to the Age-Period-Cohort Problem.” Demography 50(6):1945–67.
Ryder, Norman B. 1965. “The Cohort as a Concept in the Study of Social Change.” American Sociological Review 30(6):843–61.
Yang, Yang. 2008. “Social Inequalities in Happiness in the United States, 1972 to 2004: An Age-Period-Cohort Analysis.” American Sociological Review 73(2):204–26.
Yang, Yang and Kenneth C. Land. 2008. “Age–Period–Cohort Analysis of Repeated Cross-Section Surveys: Fixed or Random Effects?” Sociological Methods & Research 36(3):297–326.
Yang, Yang, Sam Schulhofer‐Wohl, Wenjiang J. Fu, and Kenneth C. Land. 2008. “The Intrinsic Estimator for Age‐Period‐Cohort Analysis: What It Is and How to Use It.” American Journal of Sociology 113(6):1697–1736.
Winship, Christopher and David J. Harding. 2008. “A Mechanism-Based Approach to the Identification of Age–Period–Cohort Models.” Sociological Methods & Research36(3):362–401.


人口学における質的調査&非伝統的なデータ

必読というほどではないのでこのリストには入れていないが、質的調査を用いた人口学研究は結構たくさんあり、かなり興味深い研究をたくさんうんでいると思う。基本的には社会/文化人類学と人口学の接点となり、人類学者が活躍しているが、この分野で質的な調査を行う社会学者もいる(例えばミシガンのMargaret Fryeの研究はどれもとても面白いと思う)。Anthropological Demography(人類人口学?人口人類学?)という分野も存在し、Kertzer (2019)が詳しい(今学期はKertzer教授のAnthropological Demographyのセミナーを受けていた)。ちなみにこのリスト全体に複数回登場するJohn Caldwellも人類学者である。さらに人類学者と社会人口学者がタグを組んだ一番の有名なプロジェクトしてMexican Migration Project(MMP)があげられると思う。このプロジェクトについてはMassey (1987)とMassey and Zentaro (2000)と共に、国際移民セクションのMasseyやGarlipの論文も読んで欲しい。



Cesare, Nina, Hedwig Lee, Tyler McCormick, Emma Spiro, and Emilio Zagheni. 2018. “Promises and Pitfalls of Using Digital Traces for Demographic Research.” Demography55(5):1979–99.
Coast, Ernestina. 2003. “An Evaluation of Demographers’ Use of Ethnographies.” Population Studies57(3):337–46.
Couper, Mick P. 2017. “New Developments in Survey Data Collection.” Annual Review of Sociology43(1):121–45.
Heckathorn, Douglas D. and Christopher J. Cameron. 2017. “Network Sampling: From Snowball and Multiplicity to Respondent-Driven Sampling.” Annual Review of Sociology43(1):101–19.
Kertzer, David I. 2019. “23 Anthropological Demography.” Pp. 619–41 in Handbook of Population, edited by D. L. Poston. Cham: Springer International Publishing.
Massey, Douglas S. 1987. “The Ethnosurvey in Theory and Practice.” International Migration Review 21(4):1498–1522.
Massey, Douglas S. and René Zenteno. 2000. “A Validation of the Ethnosurvey: The Case of Mexico-U.S. Migration.” International Migration Review34(3):766–93.
Randall, Sara, Ernestina Coast, Natacha Compaore, and Philippe Antoine. 2013. “The Power of the Interviewer: A Qualitative Perspective on African Survey Data Collection.” Demographic Research28:763–92.
Randall, Sara and Todd Koppenhaver. 2004. “Qualitative Data in Demography: The Sound of Silence and Other Problems.” Demographic Research11:57–94.

国勢調査
Coleman, David. 2012. “The Twilight of the Census.” Population and Development Review38:334–51. 
Hirschman, Charles, Richard Alba, and Reynolds Farley. 2000. “The Meaning and Measurement of Race in the U.S. Census: Glimpses into the Future.” Demography37(3):381.
Kukutai, Tahu, Victor Thompson, and Rachael McMillan. 2015. “Whither the Census? Continuity and Change in Census Methodologies Worldwide, 1985–2014.” Journal of Population Research32(1):3–22.
Ruggles, Steven and Susan Brower. 2003. “Measurement of Household and Family Composition in the United States, 1850–2000.” Population and Development Review 29(1):73–101.
Snipp, C. Matthew. 2003. “Racial Measurement in the American Census: Past Practices and Implications for the Future.” Annual Review of Sociology 29(1):563–88.


10.  批判的人口学


プレリム試験の準備のために先生に個別指導をしていただいたのだが、その際、「人口学自体を批判的に捉える論文も読みたい」とリクエストしたところ、先生に「そういう研究も大事だが、それは『社会人口学』ではなくて、『知識社会学』なので試験範囲ではない」と言われてしまった。ただ、その後に丁寧にメールで参照すべき文献を複数教えてくださった。Hirschman (2004)は僕のセレクションで、Raceというカテゴリーを社会人口学で使うべきではない(全てethnicityで代替するべき)というアメリカの社会人口学者としてはかなり珍しい主張をしている。本人は有名な国際移民の大御所。なおGreenhalgh(1996)によるとConcered Demographers という人口学を批判的に捉えるジャーナルが院生を中心にウィスコンシン大で作られていた時代があるらしい(Duncan等の当時の年配人口学者に批判されて後に廃刊)のだが、この初代エディターは若き日のHirschmanとのことだった。

Greenhalgh, Susan. 1996. “The Social Construction of Population Science: An Intellectual, Institutional, and Political History of Twentieth-Century Demography.” Comparative Studies in Society and History38(1):26–66.
Greenhalgh, Susan. 1997. “Methods and Meanings: Reflections on Disciplinary Difference.” Population and Development Review23(4):819.
Hirschman, Charles. 2004. “The Origins and Demise of the Concept of Race.” Population and Development Review30(3):385–415.
Hodgson, Dennis. 1991. “The Ideological Origins of the Population Association of America.” Population and Development Review17(1):1.
Szreter, Simon. 1993. “The Idea of Demographic Transition and the Study of Fertility Change: A Critical Intellectual History.” Population and Development Review19(4):659.


11. 文献リスト


ブラウンのは非公開だが、その他の大学の社会学研究科博士課程のプレリム/コンプ試験のリストを公開しているところがあるのでここに載せておく。

メリーランド大学社会学研究科博士課程の人口学試験のリスト
カリフォルニア大学アーバイン校博士課程の人口学試験のリスト


(注1)  なお、リストの作成に当たってはブラウンの試験のための必読リスト、これまでの社会人口学系のコースのシラバスや個別指導の際に渡された文献リスト、UCIrvineのリスト、私が2年間こちらで研究・勉強する中で見つけた重要文献を参考にしている。試験に対応するために私の関心がある分野の論文たくさん入れたり、関心のない分野を少なくしたりしているので、バランスの良いリストを見たい方は多分UCアーバインのリストをみるのがいいと思う(ブラウンのは非公開)し、他の大学も同じようなリストをあげているところが多い。

2019年6月4日火曜日

オルデン・スピア・ジュニア記念賞受賞

先月の近況報告でも書いたが、オルデン・スピア・ジュニア記念賞(Alden Speare Jr. Award)をいただいた。説明によると、毎年度、社会学研究科の最優秀の修論に故オルデン・スピア・ジュニア教授(元ブラウン社会学部長/人口センター所長)を記念して贈られるものらしい。もちろん、ブラウンの社会学研究科は小さな組織で、博士課程の同期入学15人のうち修論を出した13人(注1)の中で選ばれた1/13。よって、100人以上の中から選ばれる東大の研究科長賞みたいにすごいものではない。とはいっても、この賞をいただけたことはとても嬉しかった。

折角なので、オルデン・スピア・ジュニア教授について調べてみた。ソースはオンラインで、この記念サイトASAの訃報。1940年にコネチカット州で生まれ、コーネル(学部)とミシガン(大学院)で原子物理学を専攻していたが、政治的な理由から原子力研究に疑問を持ち、社会学に専攻を切り替え、ミシガンで社会学博士号をとったとのことだった。1969年からブラウンのAPとなり、その後、教授となった。教育/研究キャリアは生涯ブラウンだったらしい。社会学部長や人口学研究センター所長などもつとめ、1994年1月に北京への出張の途中に東京で亡くなったとのこと。この時代に既に現役でブラウンで教えていた私の副指導教員によると、「体調を崩して飛行機が東京に緊急着陸した」とのことである。なお、母親はとても有名な絵本作家のエリザベス・ジョージ・スピアで、日本語にもいくつか著書が訳されているとのことだった。

Google Scholarで調べた限りではアメリカ国内におけるresidential mobilityとageingに関する研究群が最も有名なようだが、国際移動や、台湾やインドネシアの人口移動の研究も積極的にしていたらしい。基本はDemographyPopulation StudiesJournal of Gerontologyを中心に論文を載せていたようだ。この時代の論文はインデックス化されていないのも多いことを考えると、1993年までの業績でこんなに引用数をたくさん稼いでいるのはなかなかすごいと思う。

賞には250ドルの小切手がついていた。日本に帰ったら2年間の記念に回らない寿司にでも行こうと思う。


注1)私も含め、同期15人のうち12人は別の大学院で既に修士号をとっているが、ブラウン社会学部の基本的な方針は博士課程中に修士論文をもう一度書いて、修士号をとらせる、というもの。よって、かなり特殊な場合にのみ修論免除が認められ、今年は2人免除された。




2019年6月2日日曜日

プレリム試験(Preliminary Exam)

最近はひたすら6月末のpreliminary exam (プレリム試験)の勉強をしている。プレリム試験は、他大学ではcomprehensive examやqualifying exam等の名称で呼ばれることもある。大学や博士課程のプログラムによって形式は大きく異なるが、ブラウン大学の社会学Ph.D.課程では以下のような特徴を持つものである(今後経験後に訂正する可能性あり)。

(1)社会階層論、社会人口学、都市社会学、人種・エスニシティ・移民の社会学、開発社会学、政治社会学、健康社会学、文化社会学、組織社会学、環境社会学、社会学理論の11分野の中から2分野に合格することが必要。
(2)2分野同時に受けてもいいが、基本的には1分野ずつ、半年の間隔をあけて受ける。
(3)試験形式はオープンブックのテイクホーム試験で、月曜の朝9時に問題がメールで送られてきて、水曜の午後5時までに答案をメールで送信する(但し、これは1分野受験の場合で、2分野を一度にやる場合は金曜まで余裕が与えられる)。
(4)答案で求められているのは設問内容にあった文献レビューの作成。1分野につき2つ設問があり、それぞれ2000-3000 words程度で作成することが求められる(1つの試験につき4000-6000 words)。
(5)事前に読んで、内容をある程度覚えておく必要のある必読論文が100本ほど分野ごとに指定されている(プレリム文献リスト)が、それからだけでは答えられないので、他にも当たる必要がある。
(6)1月と6月の年に2回受験可能であり、標準的には3年生で2分野とも受ける。2分野とも3年生終わりまでの合格が必要である。
(7)評価は当該分野を専門とする教員により構成される2名の委員によってなされ、優等合格、合格、不合格の三段階が存在する。優等合格は稀らしい。優等合格しても自己満足以外に良いことは特になく、とりあえず合格すれば良い。
(8)2度不合格になると退学。これは脅しではなく、去年実際に先輩が退学になっていた。

私は(1)については社会人口学と社会階層論を選択する予定で、6月末に受けるのは社会人口学だ。自分の専門分野が(1)にない場合は、教員と相談して作ることも可能で、同期でジェンダー社会学の試験を受けた人もいる。ただ、基本的には(1)がブラウンの社会学教員が対応できる範囲で、自分だけの試験を作るのはおすすめされない(そもそも文献リストを作るのはかなり大変な作業である)。アメリカの社会学部の中でブラウンがまあまあ強いのは社会人口学、人種・エスニシティ・移民の社会学、開発社会学、環境社会学の4分野であり、これらの科目は特に受験する院生が多い。

本来のタイムラインとしては(6)で述べたとおり、3年生の1月と6月に受けるものなのだが、私は半年早く2年生の6月に最初の試験を受けることにした。これは特に珍しいことではなく、早くコースワークと試験を終わらせて博論にとりかかりたいという考えからのことである。

プレリム文献リスト(6)に掲載される論文は、当該分野のトップジャーナルの論文のうち、これまでその分野に与えた影響力が大きいと判断されたか、教育目的にふさわしい総説的な論文である。例えば社会人口学のリストはほぼ全ての論文がDemographyPopulation and Development Reviewに掲載されている論文である。最新の研究というよりは、2010年ごろまでの間に影響力をもった論文が多い(教員側の「事情」により、最新の研究が反映されていないのは残念である)。

半年間、この試験への準備をするための個別指導を受けたのだが、「プレリム試験は分野内での共通言語をつくる制度」という趣旨のことを教員が述べていたのが印象的だった。確かに社会人口学のプレリム文献のリストを全部読み終わってある程度内容も頭に入った今は、社会人口学という分野で何がこれまで問題になってきて、ネットで見かけた最新論文Xはどこに位置付けられるか、10-20年前に書かれたどの論文と関連しているか、ということが頭に浮かぶようになってきた。

とりあえず合格したい。。

2019年5月8日水曜日

近況&2019年春学期のコースワーク

またまた更新が途絶えていた。。。学期末になり、2日前でレポートも残り1つで、1日休みをとっている(お腹の調子がそんなに良くなくて休んでいる)。簡単に近況と今学期とったコースワークについて書いておく。


1. 近況

全体的な近況。3月初旬に後輩の結婚式で1週間ほど帰国し(幸せをおすそ分けしてもらえた)、3月後半にドイツでの学会発表(まあまあうまくいった)、4月中旬に人生2回目の修論提出(5年制博士課程の2年目に提出するもの)をし、5月初旬は昨夏に投稿してR&R(修正再査読)になっていた共著論文を再投稿した。次のビッグイベントは6/24-27の1つ目のプレリム試験(博士候補試験の2つのうちの1つ)。追試はあるが、落ちたら基本的には退学になってしまうわけで、本腰を入れて勉強をする予定。プレリム試験に2つ合格し、博論計画書もディフェンスすると、博士候補(PhDキャンディデート)になれる。これはおそらく2021年の予定。

嬉しいこと2点。(1)修論が社会学研究科の最優秀賞を受賞するという連絡をいただいた。20年以上前に若くして亡くなった人口学の教授の名前を冠した賞らしい。認めてもらえたことは素直に嬉しい。ちょっとまだ詳しいことはわからないので5月末の授章式の後に色々書きたい。(2)6月半ばにペンシルヴァニア州立大で開かれる移民研究の方法論に特化した8日間のサマースクールにRussell Sage Foundationからの奨学金付きで合格した。去年落ちていて二度目のトライだった。これもまた参加後に感想を書きたい。

心配なこと2点。(1)3月に後輩の結婚式に出るために1週間だけ帰国していたのだが、その頃から体調がすぐれず、完全には回復していない気がする。具体的にいうとお腹で、時々嘔吐症状があったり、お腹が痛かったりする。胆石を疑われてエコー検査までしたのだが、何も見つからなかった。明日また医者に行くが、今度は内視鏡検査になるかもしれない。ここ2ヶ月度々苦しい思いをして健康の大切さがわかってきた。(2)来年度からTAとして教える予定で、指導教員に大学院の多変量解析のコースのTA(博士課程1年生に統計とStataの使い方をレクチャーする仕事)を頼まれていたのだが、学部TAが足りなさすぎてそちらに回される可能性が高いらしい。良い経験になるとは思うが、学部生をTAするのはかなり大変らしく、少し心配している。


2. 2019年春学期のコースワーク

ANTH 2300: Anthropological Demography (人口人類学)

人口学センター所属院生の準必修で、人類学部が提供しているセミナー。社会人類学と人口学を繋ぐ論文をひたすら読む。担当教員は人類学、社会学のトップジャーナルに数々の著作がありながら、専門は近代イタリア教会史(著書多数)で、イタリア史に関係した著作でピューリッツァー賞(伝記部門)も受賞しているデービッド・ケルツァー教授。イタリア教会史の専門家がなぜ人口学者としても知られているかというと、イタリアで研究をしていた頃に教会の地下で昔の司教がつけていた教区の人口記録を見つけて、教会がいかに出生をコントロールしていたかに関心を持ち、人口学的な研究も始めたとのことである。

人口学は人口学者、社会学者、経済学者、疫学者が中心となった出生・死亡・移動等々に関する計量データの統計分析の印象が強い学問だが、目立たない形で質的調査(主にエスノグラフィー)をしている人たちもおり、大変勉強になったし、社会人類学と人口学のコラボレーションの可能性も色々と考えられた(実際にケルツァー教授は人口学のジャーナルに社会学者と共著で論文も多数出している)。もしこの分野に関心ある方がいればケルツァー教授が編集したAnthropological Demographyという本はおすすめ。

Anthropological Demography(ちょっと古いがおすすめの本)

この他にも、今年Springerから出たされた改定版のHandbook of Population StudiesのAnthropological Demographyの項目もケルツァー教授が担当している。


SOC2961E: Sociology of Education(教育社会学)

去年倍率200倍の助教の選考に勝ち残って新しく赴任した若手教育社会学者の教育社会学の演習。教育社会学の必読文献を幅広くカバーしていて、修論の文献レビューを行う上でとてもためになった。担当教員は経済学的なアプローチを多用する人で、それも勉強になったが、明らかに計量メソッドの面では劣っている社会学という学問の教育学に対する独自な貢献は何なのかも考えさせられた。ちなみに、最近は教育学のジャーナル(e.g., AERJ)だけではなく、教育社会学のジャーナル(e.g., Sociology of Education)でも経済学者に査読を頼むことがあるらしく、経済学者対策は避けられない気がした(先生が最後の授業でつい先日リジェクトされた論文のレビュワーコメントを見せてくれたが、かなり辛辣だった)。


SOC2981: Reading and Research(修論の個別指導)

修論の個別指導。あと、先生と去年の1月ごろからやっている論文の修正再査読の対応もこの時間枠を使ってしていた。4月中旬に提出した。月末に人生2個目の修士号が授与される予定である。

SOC2981: Reading and Research(プレリム試験の個別指導)

6月末に社会人口学の博士候補試験(プレリム試験)を受験する予定で、その準備のための個別指導。副指導教員の先生と会っていた。個別指導といっても、6月に受ける同期三人とグループを作ってやっていたのでゼミみたいなかんじ。ここからあと1ヶ月は試験勉強が続きそうである。プレリム試験についてはまたいつか詳しく書きたい。

ということで、次はプレリム試験についてでも書きます。


2019年1月21日月曜日

低温調理で卵かけ納豆ご飯を作る

新年初の更新。水曜日から新学期である。先週、先生に論文のドラフトを送付して明後日の面談まで少し時間の余裕があるので、卵かけ納豆ご飯が食べれない問題への対策を考えた(注1)。

アメリカでは市販の生卵をそのまま食べることは避けた方がよいと言われている。理由はサルモネラ菌の感染の可能性があるからだ(注2)。もっとも、アメリカの卵が特別に危険というよりも、日本は世界的に見てかなり特殊な「生卵を食する習慣」があるために市販される卵に特殊な殺菌をしているということだと思う(厚労省資料)。どうしてもアメリカで生卵を安全に食べたい場合、pasteurized egg(注意:pasture raised eggとは違う!)と呼ばれる低音殺菌(pasteurize)した特殊な卵を買わなければならないようだ(米国農務省HP Q&A)。ただし、プロビデンスにはなかなか売っておらず、売っていたとしてもかなり高いらしい。

日本に住んでいた頃は卵かけ納豆ご飯を1週間に1-2回は食べていた。卵かけご飯用の醤油も買っていたくらいには好きだった。前回帰国してから半年ほど経ち、冬も日本に帰れなかったので、どうしても卵かけ納豆ご飯を食べたい気持ちが抑えられず、温泉卵を作ってそれを生卵に代替するという方向性をトライすることにした。

温泉卵を作るにあたり利用したのがANOVA(分散分析のことではない)と呼ばれる低温調理器だ(Fig 1)。コンマレベルで水温を調整・持続させることができる装置で、ローストビーフ等を作るのによく使われているようだが、もちろん卵を低温調理することもできる。ずぼらママさんという方のブログによると、ANOVAを67度に設定して25分で柔らかめの温泉卵ができるらしく、この方のオススメする温度と時間で作成することにした。なお、食品安全委員会の機関紙によるとサルモネラ菌は60℃で15分加熱すると死滅するらしく、卵黄内部に温度が到達するまで10分あれば大丈夫だろうという判断も勝手に自分でした(甘いかもしれない、、)。

完成は写真(Fig2とFig3)の通り。温泉卵1つでは生卵に比べると粘り気が少なかったので温泉卵を2つ投入する必要はあったが、それ以外は特に問題なく、美味しかった。現在食してから24時間は経過しているがお腹の調子も普通である。

Fig 1. ANOVAは左手の装置
Fig 2. 温泉卵

Fig 3. 完成した卵かけ納豆ご飯



注1:食品の安全衛生に関わることが書いてありますが、完全な素人の私見です。同じ調理法で何かあっても責任は取りかねますのでご了承ください。
注2:ただし、これは言説のレベルであって、実際にはアメリカのレストランとかでもかなり生に近い半熟卵が出てくることは多々ある。どこまで本当にアメリカの方が危ないのかは僕にはわからない。