3週間の予定でロサンゼルスに滞在中である。目的はSummer Institute in Computational Social Science (SICSS) という計算社会科学のサマープログラム(最初の2週間)、UCLAの図書館のアーカイブでの60年前の日系移民関係の調査の原票の閲覧と関連資料の収集(最後の1週間)である。昨日で2週間のサマープログラムの方が終了し、今日は休日にしてホテルにいる。
UCLAのキャンパス |
SICSSは毎年、夏季に世界中(東京を含む)で開催されている主に社会学、政治学、統計学、計算機科学の研究者が中心となって組織している計算社会科学の方法論に関するサマープログラムであり、講義、ワークショップ、グループワークがその内容である。2017年に社会学のビッグネームのChris Bail(デューク大学社会学部教授)とMatthew Salganik(プリンストン大学社会学部教授)が中心となって始めた。日本の社会学系の若手研究者の方もSICSSに興味がある人は多いと思うので、簡単にホームページからは分かりにくい実情や感想をメモしておく。
1)ロケーションによって内容に一定の違いがある
SICSSは毎年、夏季に世界中(東京を含む)で開催されている。かつてはレクチャーを統一していたようだが(オンラインでレクチャーが見れる)、現在は各ロケーションの主催者によって、内容に違いが出てくるようだ。
私が参加したUCLAでのSICSSはJennie Brand(UCLAの社会学・統計学教授)が代表で、UCLAの人口学センター(California Center for Population Research)で開催されており、講師陣もUCLAの社会学部、統計学部の関係者が多かった。
よって、講義やワークショップの内容も観察データ(observational data)を用いた因果推論や因果効果の異質性の話が中心で、通常の社会学のコースワークでも扱うような内容(例:傾向スコア)から、まだあまり流行っていないDouble Machine Learning(一種の機械学習)を使った代替アプローチ等の内容が中心的だった。実験、ネットワーク分析、テキスト分析、自然言語処理も講義やワークショップに組み込まれていたが、そこまで時間は割かれなかった。おそらく、例えば、政治学の先生が主催しているような大学では、実験が多くなったりするのではないかと想像する。
教科書はMatthew SalganikのBit by Bit: Social Research in the Digital Age(『ビット・バイ・ビット--デジタル社会調査入門』というタイトルで邦訳が出ている)が指定されており、参加前までに読んでおくように指示されたが、これに基づいて授業をするということはなかった。ワークショップ等で使う言語はRであるという縛りはあるので、Rには慣れておいた方がいいが、普段Rを使わない人も、事前にビデオで勉強することができる。
0 件のコメント:
コメントを投稿