1. PAA(Population Association of America)に参加
4月25日(水)-29日(日)の日程でPopulation Association of America(アメリカ人口学会)に参加してきた。なんで人口学?って思うれる方もおられるかもしれないが、アメリカでは人口学は社会学の下位分野としての位置づけが強く、アメリカ人口学会メンバーの4割程度は社会学者である。私はポスター報告をした。会場はコロラド州デンバーという中西部の山間部の街で、プロビデンスから飛行機で4時間ほどのところにある。とにかく学会は規模が大きく、また、全体的なレベルが高くて刺激になった。また学会参加のために大学から交通費、宿泊費だけでなく、現地でのUber代や食費まで出て驚いた(特に1年生は報告にアクセプトされずに参加だけした人にも支給された。ただし、アメリカ人口学会だけが特別扱いで、どの学会でも良いというわけではなさそうだ)。標高1609mのコロラド州デンバー(奥に見えるのはロッキー山脈) |
2. 一年目のコースワークが全て完了
PhD課程1年目のコースワークが全て完了し、成績も全てAをとることができた。学部から総合評価も送付されてきて、次年度への進級が認められた。社会学部では1年目→2年目は障壁は低いのでかなり当たり前のことであるが、時々この時点で切られる人がいるそうである。先輩等の話を聞く限りでは3→4年目と2→3年目が最も高い壁のようだ。3. 空間分析の夏期集中講義
ブラウン大学社会学部の3階にはS4(Spatial Structures in Social Sciences)と呼ばれる組織があり、社会科学に地理的な視点を取り入れる研究をしている教員、ポスドク、院生の交流する場となるとともに、毎年夏と冬に二週間の空間分析入門の集中講義を実施している。特に現段階で空間分析の手法を使う予定はないのだが、興味本位で受講してみた。集中講義の内容としては(1)Geocoding等の記述的な地理空間分析の初歩(授業では主にArcGISを使用)(2)地理空間構造を考慮に入れた多変量解析入門(授業では主にGeodaを使用)、(3)空間分析の社会科学諸分野(歴史学、社会学、経済学、公衆衛生学)の応用の3つに分けることができるだろう。まだまだ自信を持って地図を作ったり、空間モデリングができるとは思わないが、2週間である程度データやソフトに触る機会があったことで、今後空間分析が必要になった時にしなければならない作業のイメージを掴むことはできた。一つ気になって今度調べようと思うのが、社会学で多用されるマルチレベルモデル=Multilevel Modelと、空間回帰モデル(空間ラグモデル=spatial lag modelや空間誤差モデルspatial error model)の背景にある(統計学的というよりは社会学的な)理論的考え方の違いと、それぞれの強みと弱み、そしてこれら二つを組み合わせる具体的な方法である。私の浅はかな理解では、従来のマルチレベルモデルの枠組みでは、空間モデルのようにグループ間の距離によるバイアスはきちんと対処できない。逆に空間分析ではマルチレベルモデルのようにグループ内の分散をうまくモデリングできない(と思う)。よって、マルチレベルモデルと空間分析を組み合わせる方法を知りたい。
P.S. 少し調べていたら2014年のSociological Methodology誌に論文(Xu 2014)が出ていて、実際にマルチレベルモデルと空間統計を組み合わせたモデルが紹介されたりもしている。時間のある時にゆっくり読みたい。
Xu, H. (2014). Comparing Spatial and Multilevel Regression Models for Binary Outcomes in Neighborhood Studies. Sociological methodology, 44(1), 229-272.
0 件のコメント:
コメントを投稿