久々の更新。相変わらずかなり忙しく、全く更新できなかった。
今日は今学期のティーチングアシスタント業務(TA業務)についてまとめる。担当しているコースは東大でいうところの初等統計の講義(駒場の「基礎統計」や本郷の社会学の「社会調査法」)にあたり、OLSの初歩的なところまでを一通りカバーして、来学期の実習コース(東大でいう「社会調査実習」的なサムシング)に繋ぐものである。履修しているのは主に学部2年生だ。
週に2回担当教員による講義(1回につき1.5時間)があり、そのクラス(50人)を3分割して、TAによるセクションが週に3回ある。
僕の仕事はオフィスアワーを持つこと(週1時間)、セクションを教えること(週1時間)、宿題、中間・期末テスト、レポートを採点すること、学生からのメールへの対応である。もう1人学部生のTAがおり、そのTAはオフィスアワーを週2時間、セクションを週2時間教える(学部生TAは採点できないというブラウン独自のルールがある)。
セクションを毎週教えるのはそんなに負担ではないし、オフィスアワーは予想以上に学生がやってきて自己肯定感が上がる(笑)。ただ、採点(ただ点数つけるだけでなく、細かいコメントも必要)は学期中に統計の練習問題の宿題9回、中間テスト2回、期末テスト1回、レポート提出4回あり、なかなか大変である。
大変だが、学生の側からみるととても勉強になると思う。最終レポートはACS(American Community Survey)か GSS(General Social Survey)かATUS(American Time Use Survey)を使って二次分析をするというものだが、最終提出までに3回ドラフトを提出する仕組みになっている。提出の度に10程度のGrading Rubricごとのコメントを(教員と僕が)して、学生は改稿・再分析していく。50人と受講者が多めなので担当教授も部分的にやってくれるのだが、なかなか時間のかかる仕事だ。今週末はそれでほぼ時間がなくなった。ただ、学生のプロジェクトが進化するのをみるのもはやりがいを感じる。
教え方は学ぶところが多い。いつか自分が教えるときに使おうと思った点をまとめると以下のようなものだ。
(1)最終レポートの模範例とStataコードを教員が事前に配布することにより、学生が最終レポートをイメージしやすくする。
(2)学生が分析しなければならないデータを指定する(特別な許可があれば他のデータも可能)。
(3)リサーチクエスチョンを出した時点で第一回目の提出をさせて適切な「介入」を行う。
(4)レポート提出の数日前の授業で、レポートを相互に交換させて見せ合い、相互にフィードバックさせて改善させる。
(5)レポートの細かい採点基準(Grading Rubric)を作って、それを公開する。
(4)と(5)に関しては、今学期受講しているファカルティディベロップメントのコース(博士課程修了までに全員必修)でも取り上げられている方法だが、実際に自分がTAしている文脈でやるのはいつか教員になった場合のための学びにとても効果的だった。
とりあえず、残り数週間、頑張りたい。
2019年11月24日日曜日
2019年10月23日水曜日
近況10月前半:28歳になった。
久しぶりの近況報告。とりあえず、とてもとても忙しい。ここ2週間平日は午前2-4時の間に寝て、8時に起きて大学に行っている。日本から栄養ドリンクやサプリメントを持参して正解だった(アメリカのはなぜか気持ち的に飲みたくない)。金曜に重めのペーパーの提出があるが、今日はゆっくり寝るつもりである。
10月7日で28歳になった。大きな心境の変化などはない気がする。「加齢した感覚」というのは誕生日を重ねるごとに線型的に増加するわけではなく、非線形的に増加するものだと思う。過去数年を振り返ると26、27、28歳は、誕生日を迎えることによって歳をとった感覚は薄かったし、29歳も薄い気がする。逆に、30歳になった時にいろいろと感じるものがありそうだ。直近で「とても歳をとった」と感じた誕生日は23歳になった5年前と、25歳になった3年前だった。
誕生日は授業についていけていない学生相手に中間テスト対策の特別補習講義(中心極限定理)をしたあと、中国人の友人数人とプロビデンスで自分がおきに入りの中華に行った。
コースワークは順調だが、研究と同時並行でやるのはかなり大変である。ただ、Ph.D.の修了までに空間分析のシークエンスを終わらせてGraduate Certificate in Spatial Analysisを取得しようと決めたので、そのためには仕方ない。今学期のMigration、Hierarchical Data Analysis、Spatial Thinkingのコースは全てSpatialシークエンスの一部である。
先週の人口学センターのトークはハーバードからMario Small教授がきて、Neighborhood effectに関するビッグデータを使った壮大な新プロジェクトの構想を発表していた。とても面白く、Spatial Analysisはもっと深めたいと思った。ブラウンには経済学部/人口学センターにJohn Friedman教授(アルファベット順的な理由からか?、"et al."に吸収されてあまり知られていないが、ハーバードのChettyのプロジェクトのCo-Directorである)がいて、経済学でもNeighborhood effectに関心を持っている人が多いので、昨日は教室に人が入りきらなくなった。
Migrationのコースはブラウンに来てからとった授業の中で1番刺激になっている。Migrationのコースを開講している社会学大学院は多いと思うが、Race&Ethnicityとセットのところが多い気がする。Migrationの社会人口学的側面に特化したコースワークを、Race&Ethnicityとは別に単独で用意しているプログラムは少数派なのではないか。担当教員は国内移民(Internal Migrant)/都市化(urbanization)の研究から、国際移民(International Migrant)の研究に移り、最近はまた国内移民の研究に戻っている移民の専門家だ。人口の空間的分布の変動という観点から「国内移民」と「国際移民」を同じ理論的枠組みで考えようとすることにはとても新鮮さを感じている。
先々週の土曜から月曜まではNYCに行っていた。初めてのAmtrak(高速列車)でのNYCだったのだが(1ヶ月前に予約したため片道39ドルと安かった)、電車が1時間遅れて到着し、さらに途中でエンジンが故障したためニューヘブンでエンジンを修理していて、さらに2時間遅れた。アメリカクオリティ?である。
NYCのSushidenというとても美味しい日本料理はあいにく潰れてしまったみたいなのだが、代わりに遅い自分への誕生日プレゼントとして、Nare Sushiというマンハッタンの高級寿司を堪能してきた。チップいれて100ドルだったので、月曜以降はひたすら節約をしている。ただ、とても美味しかった。
M論を基にした論文が先週ASRからRejectされた。レフェリーレポートは3通で、書き方的には、1st ReviewerがReject、2nd Reviewerと3rd ReviewerがR&Rだったのではないかと思う。ありがちだと思うが、「理論的貢献が少ない」「移民研究の外に対するインプリケーションがない」というのがRejectの理由だった。ASRはレフェリー全員がR&RやAcceptを進言しても落ちる可能性があるようなところ(Rejection Letterによると最新の掲載率は6%らしい)なので、自分の論文はR&Rのレベルにはほど遠かった=実力不足としかいいようがない。ただ、レフェリーは3人とも丁寧で、合わせて3500単語分の細かい修正ポイントも頂けた。1st Reviewerはもっと"demography-oriented"なDemographyかIMRに再投稿するようにと、わざわざジャーナルも紹介してくれた。どちらかを次の目標に、11月中に再投稿できるようにしたい。
指導教員との共著論文が人口学系のフィールドジャーナルPRPRに掲載された。移民の子どもの健康(=母親による主観的健康評価)の学歴格差のライフコース上の推移に関する内容である。個人的には論述や分析などが、全体的にわかりにくいと思っており、満足していない。ただ、この論文を通して得たものはいろいろあったと思うので、良かったと思っている。
今後の研究に関して。当初はアメリカにおける帰化(=市民権の取得)について研究したいと思っていたのだが、アメリカにきてからアメリカでは全くhotなトピックではないということを半年で悟り研究を封印してきた(例えば、PAAのアブストをnaturalizationやcitizenshipで検索しても大学所属の研究者の研究はほぼ出てこなく、ASAでも質的研究がほとんどである)。これは、アメリカでは1千万程度いるとされる非正規移民(=不法滞在者)の問題が大きく、正規移民が帰化しようがするまいがsocial inequalityにはそんなに大きな問題ではない、と考えられているという背景がある。しかし、最近AJSにCatron(2019)が出て、フレームワークをうまく工夫すればむしろ競争相手が少ない未開拓分野に思えてきた。これまでは考えていなかったフレームワークでデータを探し始め、いくつかpreliminaryな分析をしてみている。もしうまく行けば、11月締め切りのRC28に出そうか迷っている(フィンランド遠いので未定)。ただ、博論に関してはこれとは別の形で進めようと思っている。
以上、2週間でちょびちょび書いた文章なので時系列等におかしいところがあるかもしれないが、近況である。更新してなくて心配してくださった方、ありがとうございました。
10月7日で28歳になった。大きな心境の変化などはない気がする。「加齢した感覚」というのは誕生日を重ねるごとに線型的に増加するわけではなく、非線形的に増加するものだと思う。過去数年を振り返ると26、27、28歳は、誕生日を迎えることによって歳をとった感覚は薄かったし、29歳も薄い気がする。逆に、30歳になった時にいろいろと感じるものがありそうだ。直近で「とても歳をとった」と感じた誕生日は23歳になった5年前と、25歳になった3年前だった。
誕生日は授業についていけていない学生相手に中間テスト対策の特別補習講義(中心極限定理)をしたあと、中国人の友人数人とプロビデンスで自分がおきに入りの中華に行った。
コースワークは順調だが、研究と同時並行でやるのはかなり大変である。ただ、Ph.D.の修了までに空間分析のシークエンスを終わらせてGraduate Certificate in Spatial Analysisを取得しようと決めたので、そのためには仕方ない。今学期のMigration、Hierarchical Data Analysis、Spatial Thinkingのコースは全てSpatialシークエンスの一部である。
先週の人口学センターのトークはハーバードからMario Small教授がきて、Neighborhood effectに関するビッグデータを使った壮大な新プロジェクトの構想を発表していた。とても面白く、Spatial Analysisはもっと深めたいと思った。ブラウンには経済学部/人口学センターにJohn Friedman教授(アルファベット順的な理由からか?、"et al."に吸収されてあまり知られていないが、ハーバードのChettyのプロジェクトのCo-Directorである)がいて、経済学でもNeighborhood effectに関心を持っている人が多いので、昨日は教室に人が入りきらなくなった。
Migrationのコースはブラウンに来てからとった授業の中で1番刺激になっている。Migrationのコースを開講している社会学大学院は多いと思うが、Race&Ethnicityとセットのところが多い気がする。Migrationの社会人口学的側面に特化したコースワークを、Race&Ethnicityとは別に単独で用意しているプログラムは少数派なのではないか。担当教員は国内移民(Internal Migrant)/都市化(urbanization)の研究から、国際移民(International Migrant)の研究に移り、最近はまた国内移民の研究に戻っている移民の専門家だ。人口の空間的分布の変動という観点から「国内移民」と「国際移民」を同じ理論的枠組みで考えようとすることにはとても新鮮さを感じている。
先々週の土曜から月曜まではNYCに行っていた。初めてのAmtrak(高速列車)でのNYCだったのだが(1ヶ月前に予約したため片道39ドルと安かった)、電車が1時間遅れて到着し、さらに途中でエンジンが故障したためニューヘブンでエンジンを修理していて、さらに2時間遅れた。アメリカクオリティ?である。
NYCのSushidenというとても美味しい日本料理はあいにく潰れてしまったみたいなのだが、代わりに遅い自分への誕生日プレゼントとして、Nare Sushiというマンハッタンの高級寿司を堪能してきた。チップいれて100ドルだったので、月曜以降はひたすら節約をしている。ただ、とても美味しかった。
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| Nare Sushiのセット |
M論を基にした論文が先週ASRからRejectされた。レフェリーレポートは3通で、書き方的には、1st ReviewerがReject、2nd Reviewerと3rd ReviewerがR&Rだったのではないかと思う。ありがちだと思うが、「理論的貢献が少ない」「移民研究の外に対するインプリケーションがない」というのがRejectの理由だった。ASRはレフェリー全員がR&RやAcceptを進言しても落ちる可能性があるようなところ(Rejection Letterによると最新の掲載率は6%らしい)なので、自分の論文はR&Rのレベルにはほど遠かった=実力不足としかいいようがない。ただ、レフェリーは3人とも丁寧で、合わせて3500単語分の細かい修正ポイントも頂けた。1st Reviewerはもっと"demography-oriented"なDemographyかIMRに再投稿するようにと、わざわざジャーナルも紹介してくれた。どちらかを次の目標に、11月中に再投稿できるようにしたい。
指導教員との共著論文が人口学系のフィールドジャーナルPRPRに掲載された。移民の子どもの健康(=母親による主観的健康評価)の学歴格差のライフコース上の推移に関する内容である。個人的には論述や分析などが、全体的にわかりにくいと思っており、満足していない。ただ、この論文を通して得たものはいろいろあったと思うので、良かったと思っている。
今後の研究に関して。当初はアメリカにおける帰化(=市民権の取得)について研究したいと思っていたのだが、アメリカにきてからアメリカでは全くhotなトピックではないということを半年で悟り研究を封印してきた(例えば、PAAのアブストをnaturalizationやcitizenshipで検索しても大学所属の研究者の研究はほぼ出てこなく、ASAでも質的研究がほとんどである)。これは、アメリカでは1千万程度いるとされる非正規移民(=不法滞在者)の問題が大きく、正規移民が帰化しようがするまいがsocial inequalityにはそんなに大きな問題ではない、と考えられているという背景がある。しかし、最近AJSにCatron(2019)が出て、フレームワークをうまく工夫すればむしろ競争相手が少ない未開拓分野に思えてきた。これまでは考えていなかったフレームワークでデータを探し始め、いくつかpreliminaryな分析をしてみている。もしうまく行けば、11月締め切りのRC28に出そうか迷っている(フィンランド遠いので未定)。ただ、博論に関してはこれとは別の形で進めようと思っている。
以上、2週間でちょびちょび書いた文章なので時系列等におかしいところがあるかもしれないが、近況である。更新してなくて心配してくださった方、ありがとうございました。
2019年9月29日日曜日
近況0929:色々
今学期は想像以上に忙しい。コースワークの他に、TA、TAトレーニング(全大学院博士課程の院生が3年生までに必修の教授法に関するトレーニング)等々がある。近況を簡単にまとめる。
コースワーク
今学期のコースワークは全て自分の関心に直結しており、とても楽しい。特にMigrationのコースを履修できたのはよかった。まだ3週目が終わったところだが、かなり勉強になっているし、最終課題はliterature reviewなので、博論プロポーザルを始めようと思っている。Hierachical/Panel Data Analysisコースも既に知っていることは多いが、知らないことも結構あり、知識を埋めるのにとても役立っている。今週も、ランダム係数モデルについての自分の誤理解が訂正できた。Spatial Thinkingもとても面白い。今週はneighborhood effectsについて読んでいる。
TA&TAトレーニング
先週書いた通り、急遽仕事が変更になり、社会統計学(学部1-2年生中心)入門を教えている。グレーディング中心なので、体系化されたレクチャーはする必要ないが、毎週火曜に1時間学生の前に立って質問に答える+1時間オフィスアワーをする必要がある。
ブラウンは博士課程の院生全員にTAトレーニングを実施している。修了までにonlineでのレクチャー&学期に5回程度のin classの演習があるのだが、課題をこなしているうちに、教員の観点から、効果的な教え方や、学生がつまずくポイントをよく考えるようになった。
例えば、社会統計学の入り口で学生がつまずく初歩的ポイントの一つに、"population distribution"、"sample distribution"、"sampling distribution"の違いがあるのではないかと思う。この違いを理解していない学生が多い。"sampling distribution"という理論的な分布を仮定する必要性を「体感」してもらう(=レクチャーじゃなくて、実際にコンピュータ等で自ら実験させてみる)ことが重要だと思った。これがしっかりわかっていると標準誤差とか検定とかもかなりスムーズに頭に入ってくるんだと思う。
研究
博論:また来年詳しく書くが、博論計画書を来年の9月から再来年の5月(学部の期限)の間に提出&公開ディフェンドせねばならない。とりあえずMigrationのコースで具体化させて行こうと考えている。
学会:日本における移民の労働市場への統合について研究(共著)をPAAのAnnual Meetingにサブミットした(今日の午前3時くらいまでかかった)。ちょっと色々手続きがあって見送ろうと思っていたのだが、アメリカの移民の研究を単著でもサブミットした。流石にどちらかはポスターには通ると思うのだが、もしかしたら新しく博論用に始めた研究も出した方が良かったかもしれない。
論文:M論を基にしたアメリカの移民二世の子どもに関する研究を某トップジャーナル(掲載率7%程度) に投稿して1ヶ月以上経った。まだAwaiting Reviewer Scoresになっているので、デスクリジェクト(全投稿の25%ほど)にはならなかったということだと思う(←喜ぶところが違う)。指導教員のすすめで「回転が速い方」に出しているので、あと2-3週間以内には結果がくると思われる。レビュワーに徹底的に論文を壊されたら諦めるのも考えるが、レビュワーコメントの建設的な部分を取り入れて大幅修正して1月半ばまでには別のところに再投稿するのが目標だ。論文執筆法のクラスを教えてくれている先生は、「はっきり言って、この論文は某サブフィールドに対して害悪である」というレビュワーコメントを最近もらったと言って学生に見せてくれた。気にせず別のところに再投稿するらしかった。こういう不屈の精神が必要なのかもしれない。
昨年調査に関わった日本のデータを使って、1月末までに永住・帰化に関する論文を書き上げることを目標としている。資料がこちらでは手に入らないものも多いので、12月は早めに帰国して少し執筆に時間を割きたい。
節約と節制
かなりうまくいっている。昼はセミナーのランチを食べるか、チャイニーズスーパーマーケットで安く仕入れた豚バラ肉/牛スライスを使った料理(もやし塩豚、キムチ豚、牛丼、肉うどん)を弁当として持参、夜はズッキーニ、ナス、ミニトマト、ホワイトマッシュルームをお椀にもり、そこにモッツェレラチーズ、塩、トリュフオイルをかけた上で圧力鍋で蒸してそれを食べている(下の写真)。
運動(=水泳)は学期が始まる前は毎日できていたが、忙しくなってまた全然行けなくなった。なんとか時間を作りたい。家と大学の中間地点(どちらからも徒歩7.5分ほど)に大学のジムがあり、その地下に温水プールがある。
その他
予定では2020年1月に2つ目のプレリム試験を受験予定だったのを、2020年6月に回すことを検討し始めた。これは自分の当初の計画からは遅れてしまうのだが、博士課程の標準からは遅れているわけではなく、2つ目のプレリム試験は6月に受験する設定になっている。社会階層論のプレリム試験を受けようと思うのだが、プレリム試験の前提となる社会階層論のコースワークが来学期あるので、それと一緒に勉強するのが効率が良いと感じているためだ。
冬は1ヶ月くらい帰省しようと思い始めた。来年の3月で高校を卒業して10年になるにあたり、クラス同窓会が開かれるらしい。とりあえず冬休みを楽しみにして駆け抜ける。
コースワーク
今学期のコースワークは全て自分の関心に直結しており、とても楽しい。特にMigrationのコースを履修できたのはよかった。まだ3週目が終わったところだが、かなり勉強になっているし、最終課題はliterature reviewなので、博論プロポーザルを始めようと思っている。Hierachical/Panel Data Analysisコースも既に知っていることは多いが、知らないことも結構あり、知識を埋めるのにとても役立っている。今週も、ランダム係数モデルについての自分の誤理解が訂正できた。Spatial Thinkingもとても面白い。今週はneighborhood effectsについて読んでいる。
TA&TAトレーニング
先週書いた通り、急遽仕事が変更になり、社会統計学(学部1-2年生中心)入門を教えている。グレーディング中心なので、体系化されたレクチャーはする必要ないが、毎週火曜に1時間学生の前に立って質問に答える+1時間オフィスアワーをする必要がある。
ブラウンは博士課程の院生全員にTAトレーニングを実施している。修了までにonlineでのレクチャー&学期に5回程度のin classの演習があるのだが、課題をこなしているうちに、教員の観点から、効果的な教え方や、学生がつまずくポイントをよく考えるようになった。
例えば、社会統計学の入り口で学生がつまずく初歩的ポイントの一つに、"population distribution"、"sample distribution"、"sampling distribution"の違いがあるのではないかと思う。この違いを理解していない学生が多い。"sampling distribution"という理論的な分布を仮定する必要性を「体感」してもらう(=レクチャーじゃなくて、実際にコンピュータ等で自ら実験させてみる)ことが重要だと思った。これがしっかりわかっていると標準誤差とか検定とかもかなりスムーズに頭に入ってくるんだと思う。
研究
博論:また来年詳しく書くが、博論計画書を来年の9月から再来年の5月(学部の期限)の間に提出&公開ディフェンドせねばならない。とりあえずMigrationのコースで具体化させて行こうと考えている。
学会:日本における移民の労働市場への統合について研究(共著)をPAAのAnnual Meetingにサブミットした(今日の午前3時くらいまでかかった)。ちょっと色々手続きがあって見送ろうと思っていたのだが、アメリカの移民の研究を単著でもサブミットした。流石にどちらかはポスターには通ると思うのだが、もしかしたら新しく博論用に始めた研究も出した方が良かったかもしれない。
論文:M論を基にしたアメリカの移民二世の子どもに関する研究を某トップジャーナル(掲載率7%程度) に投稿して1ヶ月以上経った。まだAwaiting Reviewer Scoresになっているので、デスクリジェクト(全投稿の25%ほど)にはならなかったということだと思う(←喜ぶところが違う)。指導教員のすすめで「回転が速い方」に出しているので、あと2-3週間以内には結果がくると思われる。レビュワーに徹底的に論文を壊されたら諦めるのも考えるが、レビュワーコメントの建設的な部分を取り入れて大幅修正して1月半ばまでには別のところに再投稿するのが目標だ。論文執筆法のクラスを教えてくれている先生は、「はっきり言って、この論文は某サブフィールドに対して害悪である」というレビュワーコメントを最近もらったと言って学生に見せてくれた。気にせず別のところに再投稿するらしかった。こういう不屈の精神が必要なのかもしれない。
昨年調査に関わった日本のデータを使って、1月末までに永住・帰化に関する論文を書き上げることを目標としている。資料がこちらでは手に入らないものも多いので、12月は早めに帰国して少し執筆に時間を割きたい。
節約と節制
かなりうまくいっている。昼はセミナーのランチを食べるか、チャイニーズスーパーマーケットで安く仕入れた豚バラ肉/牛スライスを使った料理(もやし塩豚、キムチ豚、牛丼、肉うどん)を弁当として持参、夜はズッキーニ、ナス、ミニトマト、ホワイトマッシュルームをお椀にもり、そこにモッツェレラチーズ、塩、トリュフオイルをかけた上で圧力鍋で蒸してそれを食べている(下の写真)。
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| 圧力鍋で蒸す前 |
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| 圧力鍋で蒸した後 |
運動(=水泳)は学期が始まる前は毎日できていたが、忙しくなってまた全然行けなくなった。なんとか時間を作りたい。家と大学の中間地点(どちらからも徒歩7.5分ほど)に大学のジムがあり、その地下に温水プールがある。
その他
予定では2020年1月に2つ目のプレリム試験を受験予定だったのを、2020年6月に回すことを検討し始めた。これは自分の当初の計画からは遅れてしまうのだが、博士課程の標準からは遅れているわけではなく、2つ目のプレリム試験は6月に受験する設定になっている。社会階層論のプレリム試験を受けようと思うのだが、プレリム試験の前提となる社会階層論のコースワークが来学期あるので、それと一緒に勉強するのが効率が良いと感じているためだ。
冬は1ヶ月くらい帰省しようと思い始めた。来年の3月で高校を卒業して10年になるにあたり、クラス同窓会が開かれるらしい。とりあえず冬休みを楽しみにして駆け抜ける。
2019年9月22日日曜日
頑張ってイベントに参加するべし
今年度は学部やセンターで開催されるトークやソーシャルイベントに積極的に顔を出することを心がけいる。またプロセミランチの委員にも就任した。5月に、院生として渡米して今に至るとある教授に、留学生として米で成功するアドバイスを求めにいったところ、ソーシャルイベント、各種トーク、勉強会にあまり顔を出していないのを指摘されて、もっと積極的に参加する必要を指摘されたことがきっかけだ。
思い返せば、昨年は、毎週木曜昼の人口学センターのコロキアム(他大学の教授を招いて講演)には毎週参加していたが、社会学部のコロキアム(火曜昼)、ジョブトーク(不定期)、ワトソン研究所(開発学センター)のコロキアム(木曜夕方)には時々しか参加していなかった。入学した頃は何もかもが新しくてどのイベントも律儀に参加していたのだが、だんだん疲れてきて参加しなくなってしまったというのが正しいかもしれない。
今学期から再び全イベントに参加していて改めて驚くのは、各センターのコロキアムや各種イベントへの教授陣の出席率の高さだ。週に何度もあるのに、社会学部の教授陣はほぼみんな出席して、発表が終わると一斉に手をあげて質問したり、意見を述べている。そもそも、アドバイスを下さった教授も、全てに参加しているからこそ私があまり出席しなくなったのを把握できているのだ。
土曜は社会学部の恒例のピクニックがあり、1時間半かけてロードアイランド州南のColt State Parkという国立公園まで教員・職員・院生等々とサイクリングをして、そこでBBQをした。East Bay Bike Pathというロードアイランド州のプロビデンスからブリストルまでを走る25kmほどのサイクリングロードがあり、海岸線沿いなので、とても気持ちよかった。道路沿いにはレモネードのスタンドが時々あり、それも美味しかった。新品で買ったのに100ドルだった安物のマウンテンバイクで出かけたのでスピードが出ず、周りに少し迷惑をかけてしまった。次は間違いなくもっと良いのを買う。
今学期から再び全イベントに参加していて改めて驚くのは、各センターのコロキアムや各種イベントへの教授陣の出席率の高さだ。週に何度もあるのに、社会学部の教授陣はほぼみんな出席して、発表が終わると一斉に手をあげて質問したり、意見を述べている。そもそも、アドバイスを下さった教授も、全てに参加しているからこそ私があまり出席しなくなったのを把握できているのだ。
土曜は社会学部の恒例のピクニックがあり、1時間半かけてロードアイランド州南のColt State Parkという国立公園まで教員・職員・院生等々とサイクリングをして、そこでBBQをした。East Bay Bike Pathというロードアイランド州のプロビデンスからブリストルまでを走る25kmほどのサイクリングロードがあり、海岸線沿いなので、とても気持ちよかった。道路沿いにはレモネードのスタンドが時々あり、それも美味しかった。新品で買ったのに100ドルだった安物のマウンテンバイクで出かけたのでスピードが出ず、周りに少し迷惑をかけてしまった。次は間違いなくもっと良いのを買う。
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| East Bay Bike Path |
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| East Bay Bike Path |
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| East Bay Bike Path |
2019年9月18日水曜日
ティーチングアシスタントが足りない問題
今学期は大学院の多変量解析のコースのティーチングアシスタント(TA)に割り当てられ、レクチャーを火曜にしたことを先週の投稿で記したが、なんと2回目のレクチャーの昨日がそのコースのTAとしての最後の日になった。明日からは学部の社会統計学のコースのTAになる。大学院の多変量解析のコースはTAがいなくなるらしい。
突然変更になった理由は、TAを雇う予算がないということではなく、社会学部の提供する学部向けの諸々のコースの履修者数の当初の予想が外れ、一部の授業でTA不足が発生しているからだ。TA不足の背景には、ブラウンの社会学部の関連センターのFellowshipが毎年充実してきており、社会学部の院生がそれを獲得してTAを避けてしまうという問題がある(研究に集中できるということなので、良いことなのだが)(注)。ちなみに、今年は大学院1-6年生60余名中、TAとして生活している人は11名しかいない。
変更になったTAの講義のための資料等を一学期分、全て用意していなくて良かった、、というのが正直な感想だ。全部用意していて、学期途中で突然変更になったら、ショックだった。明日からの学部の授業は履修人数が50名と大学院の講義の3倍の数で、さらには学部生は成績を気にすると思うので、より大変かもしれないが、とりあえず臨機応変に頑張りたい。
注)アメリカの大学院の人文・社会科学系の大学院生はTeaching Assistantship (TA)、Research Assitantship (RA)、Fellowshipのいずれかの形で生活費を支給されてサバイバルしている。Fellowというのは要するに何もしなくても自分の研究だけしていればお金をもらえる状態で、一番理想なので、みんなこの状態になりたがる。大抵の場合、学年(または学期)ごとにステータスが推移するのが普通である。例えば、1年目(Fellow)→2年目(RA)→3年目(Fellow)→4年目(TA)→5年目(Fellow)→6年目(Fellow)という具合だ。なお、社会学部では1年生と5年生はデフォルトで全員Fellowshipが確約されている。Fellowshipには外部の財団から支給を受けるExternal(外部)と、大学内のリサーチセンターや所属する学部から支給を受けるInternal(内部)の二種類がある。日本の例でいうと学振が前者で、リーディング大学院が後者だ。同期で一度も教えずに6年間全部フェローで過ごそうとしている人もチラホラいるが、教育経験を積むために最低1年はTAをすることが推奨されている。
2019年9月12日木曜日
近況0912: "Fun is mandatory, you know."
大学のブックストアで用事を済ませて出て行こうとしたところ、入口にいた警備員のおじさんに"Fun is mandatory, you know."と声をかけられた。月火水と忙しかったので、相当疲れた顔をしていたんだと思う。
以下、簡単に近況を記す。最初の週のティーチングアシスタント業務が終わった。ティーチングアシスタント業務は様々な種類があるが、私は多変量解析のコース担当で、水曜の教授のレクチャーとは別に、補完的なレクチャーを火曜に2時間し、さらに2時間オフィスアワーをもって学生への質問対応することが主な業務内容(+テスト採点)。初回のレクチャーは自分で話している途中で自信をなくしてしまい、英語がしどろもどろになってしまって、主観的には落第。前向きに自分の講義で修正すべきところを探して毎回改善していきたい。特に講義資料(スライド)を学生にあわせてもっと入念に準備する必要を感じた。
今学期、履修しているコースワークは月火水に集中していて結構忙しくて大変。ただ、興味を持てる組み合わせになったと思っている。特に移住のコースはエスニシティ学派とレース学派の人が両方いて、相手の視点から学び、かつ自分の立場も深められるコースだと思う。来学期はエスニシティ・レースのコースもあるので、できればそれもとりたい。
警備員のおじさんに"mandatory"と言われた"fun"は持てているか?正直、Netflixと食べること以外は楽しみがなく、全く持てていない。学部生が楽しそうに芝生の上に座って雑談しているのを見ると、少し羨ましく感じる。
最後に。渡米してすぐの頃は、街中でよくある赤の他人からのユーモアを効かせた唐突な「声かけ」によく戸惑ったが、慣れて来た気がする。次のステップはこの「声かけ」をする側になることだと思っている。アメリカのユーモア感覚をもっとちゃんと身につけて滑らない会話を見知らぬ人とできるようにもなりたい。
以下、簡単に近況を記す。最初の週のティーチングアシスタント業務が終わった。ティーチングアシスタント業務は様々な種類があるが、私は多変量解析のコース担当で、水曜の教授のレクチャーとは別に、補完的なレクチャーを火曜に2時間し、さらに2時間オフィスアワーをもって学生への質問対応することが主な業務内容(+テスト採点)。初回のレクチャーは自分で話している途中で自信をなくしてしまい、英語がしどろもどろになってしまって、主観的には落第。前向きに自分の講義で修正すべきところを探して毎回改善していきたい。特に講義資料(スライド)を学生にあわせてもっと入念に準備する必要を感じた。
今学期、履修しているコースワークは月火水に集中していて結構忙しくて大変。ただ、興味を持てる組み合わせになったと思っている。特に移住のコースはエスニシティ学派とレース学派の人が両方いて、相手の視点から学び、かつ自分の立場も深められるコースだと思う。来学期はエスニシティ・レースのコースもあるので、できればそれもとりたい。
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| ブラウン大学の中心部のメイングリーン。奥のSayles Hallは、1911年に新渡戸稲造が日米交換教授として集中講義したこともある歴史ある建物。 |
最後に。渡米してすぐの頃は、街中でよくある赤の他人からのユーモアを効かせた唐突な「声かけ」によく戸惑ったが、慣れて来た気がする。次のステップはこの「声かけ」をする側になることだと思っている。アメリカのユーモア感覚をもっとちゃんと身につけて滑らない会話を見知らぬ人とできるようにもなりたい。
2019年9月9日月曜日
今学期のコースワーク(博士課程3年目前半)
他の大学では2年目までのところもあるらしいのだが、私の所属する学部はカリキュラム設計上、博士の3年目の春までコースワークの単位を一定の範囲で取り続ける必要がある。今学期は以下のラインアップになることがほぼ確定した。全て大学院レベルのセミナー形式。
SOC 2460 Sociology Paper Writing Seminar/論文執筆セミナー [通年]
博士課程3年生向けに開講されている論文執筆のコース。修論を相互にフィードバックしながら改稿して、ジャーナル投稿までするのが目標とのこと。論文の書き方とともに、査読の仕方、査読対応の仕方等も学ぶらしい。担当教員はEmily Rauscher准教授。昨年度から院生の要望に応じて設置されたコース。
SOC 2320 Migration/移住
人口学トラックのオプションとして2年に1回程度の頻度で開講されるコース。このコースでは国内移住(Internal Migration)と国際移住(International Migration)の主要先行研究をテーマ別にサーベイする。履修者は社会学と人類学の院生7人で、ブラウン社会学らしく?、アメリカへの移民を研究している社会学徒は私だけだった。このコースは課題がかなり自由に設計できるので、博論プロポーザルの先行研究レビューに使うつもり。
ちなみに、人口学の基本原則として、任意の地域における人口変動の要因は出生(+)、死亡(−)、移住(+ or −)の3つしかあり得ないので、移住は人口研究のコアの一つである。しかしながら、出生や死亡と違って生物学的プロセスと切り離されており、「何が移住とみなされるか?」という定義問題から始まり、出生、死亡研究にはない難しさもある。担当教員はMichael White教授。
SOC 2610 Spatial Thinking in Social Science/社会科学における地理空間的思考法
このコースは研究テーマに地理空間的視点を持ち込むことを目的としてデザインされたコース。セグリゲーション、近隣効果、空間的拡散等、テーマに分けて社会学、人口学、経済学、政治学のレビューをする。なお、これはメソッドのコースではなく、それは別にある。担当教員はJohn Logan教授。ちなみに、エスニックエンクレーブやセグリゲーションの研究ではかなり有名な大御所で、Google総引用件数は3万近い。
ブラウンには人口学センターを筆頭に社会学部と強い繋がりをもつ研究センターがいくつかあり、その一つにSpatial Structures in Social Sciences(S4)という組織がある。これは20年近く前に作られた組織で、この組織を中心に社会学&人口学に地理空間分析を取り入れる研究がなされ、地理空間分析のメソッドコースも本当にたくさん開講されている。毎年新学期になる度に思うのだが、特にメソッドのコースは本家の社会学部からは履修者が少なく勿体無い気がするので、地理空間分析を勉強したい日本の学部生/院生はブラウン社会学部に出願するのは考えてみるのをオススメする。
SOC 2960S Statistical Methods for Hierarchical and Panel Data/マルチレベル・パネルデータ分析法
タイトル通りマルチレベル・パネルデータ分析法を学ぶ。特にランダム効果モデルとその発展系(e.g., 成長曲線モデル)に重きがおかれるようだ。教科書はHox (2010)。最初の授業のイントロで「今学期は色々学ぶけど、実践ではクラスタロバスト標準誤差を事後的に計算するだけで事足りることが多い」と担当教員が言っていた。確かに大抵のRQではランダム効果自体に関心がない場合が多く、その通りだと思った。担当教員はMargot Jackson准教授。
フルブライトでvisitingしている院生の方をあわせると、履修者9人のうち4人が中国人民大出身者でとても興味深い。社会科学に強い大学らしく、日本でいう一橋大だと思われる。
ちなみにこのコースは社会学部の計量メソッドシークエンスの一貫。地理空間分析の諸々のメソッドコースと、来年から新設される計算社会科学のコースを除くと、常設されている計量メソッドのコースは多変量解析Ⅰ・Ⅱ(必修)、人口学的分析法、因果推論、マルチレベル/パネルデータ分析法、イベントヒストリー分析法の6つである。私の場合、イベントヒストリー分析のコースを履修すると社会学部のメソッドシークエンスは全てとり終わる。
SOC 2460 Sociology Paper Writing Seminar/論文執筆セミナー [通年]
博士課程3年生向けに開講されている論文執筆のコース。修論を相互にフィードバックしながら改稿して、ジャーナル投稿までするのが目標とのこと。論文の書き方とともに、査読の仕方、査読対応の仕方等も学ぶらしい。担当教員はEmily Rauscher准教授。昨年度から院生の要望に応じて設置されたコース。
SOC 2320 Migration/移住
人口学トラックのオプションとして2年に1回程度の頻度で開講されるコース。このコースでは国内移住(Internal Migration)と国際移住(International Migration)の主要先行研究をテーマ別にサーベイする。履修者は社会学と人類学の院生7人で、ブラウン社会学らしく?、アメリカへの移民を研究している社会学徒は私だけだった。このコースは課題がかなり自由に設計できるので、博論プロポーザルの先行研究レビューに使うつもり。
ちなみに、人口学の基本原則として、任意の地域における人口変動の要因は出生(+)、死亡(−)、移住(+ or −)の3つしかあり得ないので、移住は人口研究のコアの一つである。しかしながら、出生や死亡と違って生物学的プロセスと切り離されており、「何が移住とみなされるか?」という定義問題から始まり、出生、死亡研究にはない難しさもある。担当教員はMichael White教授。
SOC 2610 Spatial Thinking in Social Science/社会科学における地理空間的思考法
このコースは研究テーマに地理空間的視点を持ち込むことを目的としてデザインされたコース。セグリゲーション、近隣効果、空間的拡散等、テーマに分けて社会学、人口学、経済学、政治学のレビューをする。なお、これはメソッドのコースではなく、それは別にある。担当教員はJohn Logan教授。ちなみに、エスニックエンクレーブやセグリゲーションの研究ではかなり有名な大御所で、Google総引用件数は3万近い。
ブラウンには人口学センターを筆頭に社会学部と強い繋がりをもつ研究センターがいくつかあり、その一つにSpatial Structures in Social Sciences(S4)という組織がある。これは20年近く前に作られた組織で、この組織を中心に社会学&人口学に地理空間分析を取り入れる研究がなされ、地理空間分析のメソッドコースも本当にたくさん開講されている。毎年新学期になる度に思うのだが、特にメソッドのコースは本家の社会学部からは履修者が少なく勿体無い気がするので、地理空間分析を勉強したい日本の学部生/院生はブラウン社会学部に出願するのは考えてみるのをオススメする。
SOC 2960S Statistical Methods for Hierarchical and Panel Data/マルチレベル・パネルデータ分析法
タイトル通りマルチレベル・パネルデータ分析法を学ぶ。特にランダム効果モデルとその発展系(e.g., 成長曲線モデル)に重きがおかれるようだ。教科書はHox (2010)。最初の授業のイントロで「今学期は色々学ぶけど、実践ではクラスタロバスト標準誤差を事後的に計算するだけで事足りることが多い」と担当教員が言っていた。確かに大抵のRQではランダム効果自体に関心がない場合が多く、その通りだと思った。担当教員はMargot Jackson准教授。
フルブライトでvisitingしている院生の方をあわせると、履修者9人のうち4人が中国人民大出身者でとても興味深い。社会科学に強い大学らしく、日本でいう一橋大だと思われる。
ちなみにこのコースは社会学部の計量メソッドシークエンスの一貫。地理空間分析の諸々のメソッドコースと、来年から新設される計算社会科学のコースを除くと、常設されている計量メソッドのコースは多変量解析Ⅰ・Ⅱ(必修)、人口学的分析法、因果推論、マルチレベル/パネルデータ分析法、イベントヒストリー分析法の6つである。私の場合、イベントヒストリー分析のコースを履修すると社会学部のメソッドシークエンスは全てとり終わる。
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