2019年10月23日水曜日

近況10月前半:28歳になった。

久しぶりの近況報告。とりあえず、とてもとても忙しい。ここ2週間平日は午前2-4時の間に寝て、8時に起きて大学に行っている。日本から栄養ドリンクやサプリメントを持参して正解だった(アメリカのはなぜか気持ち的に飲みたくない)。金曜に重めのペーパーの提出があるが、今日はゆっくり寝るつもりである。

10月7日で28歳になった。大きな心境の変化などはない気がする。「加齢した感覚」というのは誕生日を重ねるごとに線型的に増加するわけではなく、非線形的に増加するものだと思う。過去数年を振り返ると26、27、28歳は、誕生日を迎えることによって歳をとった感覚は薄かったし、29歳も薄い気がする。逆に、30歳になった時にいろいろと感じるものがありそうだ。直近で「とても歳をとった」と感じた誕生日は23歳になった5年前と、25歳になった3年前だった。

誕生日は授業についていけていない学生相手に中間テスト対策の特別補習講義(中心極限定理)をしたあと、中国人の友人数人とプロビデンスで自分がおきに入りの中華に行った。

コースワークは順調だが、研究と同時並行でやるのはかなり大変である。ただ、Ph.D.の修了までに空間分析のシークエンスを終わらせてGraduate Certificate in Spatial Analysisを取得しようと決めたので、そのためには仕方ない。今学期のMigration、Hierarchical Data Analysis、Spatial Thinkingのコースは全てSpatialシークエンスの一部である。

先週の人口学センターのトークはハーバードからMario Small教授がきて、Neighborhood effectに関するビッグデータを使った壮大な新プロジェクトの構想を発表していた。とても面白く、Spatial Analysisはもっと深めたいと思った。ブラウンには経済学部/人口学センターにJohn Friedman教授(アルファベット順的な理由からか?、"et al."に吸収されてあまり知られていないが、ハーバードのChettyのプロジェクトのCo-Directorである)がいて、経済学でもNeighborhood effectに関心を持っている人が多いので、昨日は教室に人が入りきらなくなった。

Migrationのコースはブラウンに来てからとった授業の中で1番刺激になっている。Migrationのコースを開講している社会学大学院は多いと思うが、Race&Ethnicityとセットのところが多い気がする。Migrationの社会人口学的側面に特化したコースワークを、Race&Ethnicityとは別に単独で用意しているプログラムは少数派なのではないか。担当教員は国内移民(Internal Migrant)/都市化(urbanization)の研究から、国際移民(International Migrant)の研究に移り、最近はまた国内移民の研究に戻っている移民の専門家だ。人口の空間的分布の変動という観点から「国内移民」と「国際移民」を同じ理論的枠組みで考えようとすることにはとても新鮮さを感じている。


先々週の土曜から月曜まではNYCに行っていた。初めてのAmtrak(高速列車)でのNYCだったのだが(1ヶ月前に予約したため片道39ドルと安かった)、電車が1時間遅れて到着し、さらに途中でエンジンが故障したためニューヘブンでエンジンを修理していて、さらに2時間遅れた。アメリカクオリティ?である。

NYCのSushidenというとても美味しい日本料理はあいにく潰れてしまったみたいなのだが、代わりに遅い自分への誕生日プレゼントとして、Nare Sushiというマンハッタンの高級寿司を堪能してきた。チップいれて100ドルだったので、月曜以降はひたすら節約をしている。ただ、とても美味しかった。



Nare Sushiのセット

M論を基にした論文が先週ASRからRejectされた。レフェリーレポートは3通で、書き方的には、1st ReviewerがReject、2nd Reviewerと3rd ReviewerがR&Rだったのではないかと思う。ありがちだと思うが、「理論的貢献が少ない」「移民研究の外に対するインプリケーションがない」というのがRejectの理由だった。ASRはレフェリー全員がR&RやAcceptを進言しても落ちる可能性があるようなところ(Rejection Letterによると最新の掲載率は6%らしい)なので、自分の論文はR&Rのレベルにはほど遠かった=実力不足としかいいようがない。ただ、レフェリーは3人とも丁寧で、合わせて3500単語分の細かい修正ポイントも頂けた。1st Reviewerはもっと"demography-oriented"なDemographyIMRに再投稿するようにと、わざわざジャーナルも紹介してくれた。どちらかを次の目標に、11月中に再投稿できるようにしたい。

指導教員との共著論文が人口学系のフィールドジャーナルPRPRに掲載された。移民の子どもの健康(=母親による主観的健康評価)の学歴格差のライフコース上の推移に関する内容である。個人的には論述や分析などが、全体的にわかりにくいと思っており、満足していない。ただ、この論文を通して得たものはいろいろあったと思うので、良かったと思っている。

今後の研究に関して。当初はアメリカにおける帰化(=市民権の取得)について研究したいと思っていたのだが、アメリカにきてからアメリカでは全くhotなトピックではないということを半年で悟り研究を封印してきた(例えば、PAAのアブストをnaturalizationやcitizenshipで検索しても大学所属の研究者の研究はほぼ出てこなく、ASAでも質的研究がほとんどである)。これは、アメリカでは1千万程度いるとされる非正規移民(=不法滞在者)の問題が大きく、正規移民が帰化しようがするまいがsocial inequalityにはそんなに大きな問題ではない、と考えられているという背景がある。しかし、最近AJSにCatron(2019)が出て、フレームワークをうまく工夫すればむしろ競争相手が少ない未開拓分野に思えてきた。これまでは考えていなかったフレームワークでデータを探し始め、いくつかpreliminaryな分析をしてみている。もしうまく行けば、11月締め切りのRC28に出そうか迷っている(フィンランド遠いので未定)。ただ、博論に関してはこれとは別の形で進めようと思っている。

以上、2週間でちょびちょび書いた文章なので時系列等におかしいところがあるかもしれないが、近況である。更新してなくて心配してくださった方、ありがとうございました。